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公聴会

2007年04月06日 08:01

公聴会

15年以上前に今住んでいる家を買う際に考慮に入れたのは街中であっても比較的静かな地区で、公務員の質素な給料では森の中の一軒家ですむことも叶わないものの、せめて小さな子供たちが安全に遊べるようなところと、いうことが大切な条件だった。 購買したうちは、人口10万人ほどのオランダの中程度の町の、そのはずれに位置していて、家の前には隣組の住人ぐらいしか通らない道があり、そこに自分の車を路上駐車している。 そこから30mほどの幅の芝生の緑地ベルトが続いており自転車専用の2m幅ほどの小道があり2車線の自動車道路がロッテルダムからアムステルダムに向かう運河に沿って伸びている。 この車道はこの町の外環状道路の一部を形成しているのだが家から300mほど離れたところからはリングにはなっておらず突き当たってT字路となっているから、従って通り抜けが出来ることもなく、日常的には交通量も大きいものではない。

大型の運搬トラックもあまり通らず路上バスのルートにもなっていない。 だから真夏や冬に野鴨や雁の群れが運河から草地へのこのこと何十羽と1列に歩いて自動車道を横切っても車はのんびりと止まってその通過をやり過ごすという光景がしばしば見られる。それが今までのところの様子であり、子供たちもそこで遊び大きくなり今はもうそこでは遊ぶこともなくなり、近所の小さな子供たちがサッカーをして夕食後を過ごしている。

だから購買契約の時の唯一の憂慮は将来この道路の先に今の不完全なリングを繋ぐような計画が出来てその結果交通量の増加するのではないか、それに加えて市のものである緑地が削られその分道路が広げられ、、、、、というようなシナリオを恐れたものだ。 それは、もしも自分が市の経済、交通担当であれば当然、現在の市の中心地区から高速道路に連結できるような、また、郊外工業団地地区に直結できるようなルートとしてこの環状道路の拡張と整備、リングの完成のためにプロジェクトを立てるだろう、という市政の論理を推測した結果でもあった。

20年ぐらいは大丈夫だろうと踏んだ。 そしてそれから15年以上が経ち、この間、市の広報を見ているとそういう計画がありプロジェクトを立ち上げるための公聴会が近所である、と案内の記事が出ていた。 それが今夜だった。 夕食後、まだ明るい8時から2時間半ほど市の交通、財政担当の評議員が出てあらましを説明、そのあと住民の意見を聞く、というお決まりの公聴会である。有色人種の顔は見られずアジア人は私一人だけである。 典型的公聴会の構成だ。

どこでも市当局が何も準備しないで公聴会を開くということはない。 既に案がありそのモニターをするのである。 プロジェクトが大きくなり住民の反対がある場合にはレファレンダム投票で案が覆される場合がある。 それがこの間の、町の中心に路面電車を入れるかどうか、という市の案に住民が7割ほどのNOを突きつけて流れたレファレンダムの結果である。 私もどう見ても利益優先で住民の安全を考慮にいれない市の案に反対の票を投じた。

しかし、今回の懸案にはどのような態度をとるべきか、まずは状況説明を聞いてみようと出かけた次第だ。 運河の向こう側に見える工業団地の5年ほど前に建てられた会館はしばしば眺めるものの中には入ったことがなかったのだが広いロビーには130人以上の住民が集まった。 平均年齢は50歳以上と思われる。 建設、都市計画市議会政党代表、環境団体、地元住民からなるものと思われた。

今までのところ幾つか環状道路整備案がでているものの市当局としてもどれを推し進めるかは目算がたっていないものの住民代表と市側、それに専門家を含めた作業委員会を設立してその委員とこれから今年の暮れに向けて何回か検討を加えてたたき台の案を幾つかまとめる予定であるらしい。 そこから実質的に討議されあと2年ほどで最終案の採択、道路整備の完成は10年以内との希望的観測である。

後半、質疑応答で環境グループ、住民グループから厳しい批判がでた。 曰く、市は財政の確保もその規模も示さないまま、市内の交通問題をそのまま我々の地区に横滑りさせ安全、排ガス、騒音などの環境問題に一切言及せず無理押しを進める兆しが十分あり、このあいだのレファレンダムの教訓を学んでいない、幾つかのおおきな交差点が必要になるにもかかわらずそしてもしそのようになれば莫大な立ち退き資金が必要になるにもかかわらず市の財政で賄おうという無謀な態度、環境モニターの十分な資料を提示せず将来にわたる周辺住民にたいする影響も提示しない態度、等等、、、。

市側は当然、このような反発が初めからあることを計算済みであり、これは市議会前哨戦であるからマニュアル通りのそつのない対応で作業委員会でこれらの問題点を深めて討議する旨の回答があり、多分この発言者たちがそのまま作業委員会の委員になるものと見られる。 

多分あと10年ぐらいでこの前の自動車道路も拡張されて環状道路が当初の計画以来80年を経て完成した暁にはこの家も我々老夫婦のみとなるからそういうところで住み続ける必要がなくなるのだろう。 今よりも部屋の数が少ない夫婦二人だけの家に引っ越すことになるのだろう。 大体予想していたように状況は推移している。 この15年ほどで家の値段は2倍以上に上がっているのだが果たしてこれから15年ほど先にはどうなっているのだろうか。 今よりは下がることはないだろうが今までと同じような上昇線をたどることはないだろう。

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