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吉四六(きっちょむ)さん
2014年06月07日 22:48
日本の昔話です。
むかしむかし、吉四六(きっちょむ)さんと言う人がいました。
ある時、吉四六さんは近所の貧しい家の子どもを預かりました。
「なあ、坊主、お前の一番の望みは何だい?」
吉四六さんが尋ねると、子どもが言いました。
「ああ、おら、一度でいいから、米のご飯を食べてみてえ」
それを聞くと吉四六さんは、何とかしてお米のごはんを食べさせてやりたいと思いました。
でも、その頃のお百姓さんは貧乏で、食べ物はアワかムギのおかゆで、お米のご飯は、お祭りや祝い事などの特別な時しか食べる事が出来ませんでした。
「弱ったなあ。お祭りは、まだまだ来ねえし」
そこで次の朝、吉四六さんはわざと外へ行くとすぐ戻って来て、おかみさんに言いました。
「実は、今日は村のみんなで、壊れた道を直す事になった。だから早く弁当を作ってくれ」
村の仕事で出かけるとなると、弁当を作らないわけにもいきません。
それにみんなと一緒に食べるのですから、アワやムギでは恥ずかしいので、おかみさんはとっておきのお米を炊いて弁当箱に詰め、干し魚もたくさん入れてあげました。
「ありがとよ」
吉四六さんは弁当を持って、あわてて家を飛び出して行きました。
ところがしばらくすると、がっかりした顔で帰ってきたのです。
「まったく、しょうのない話だ。せっかく弁当を持って行ったのに、急に仕事が取り止めになった。もう少し早く教えてくれれば 弁当なんか作らずにすんだものを」
吉四六さんは、わざと怒ったふりをしました。
それから急に、やさしい顔になって言いました。
「しかし、せっかくの弁当を捨てるわけにもいかん。どうだろう、この弁当をあの子に食わせてやっては?きっと喜ぶぞ」
するとおかみさんは、ようやく吉四六さんのやろうとしていた事が分かって、「ええ。そうしてあげましょう」と、にっこり微笑みました。
「あはは。まったく、お前はいい嫁さんだ」
そこで吉四六さんは、さっそく子どもを起こしてくると、「ほら、米のご飯だ。これは全部、お前が食ってもいいんだぞ」と、言って、腹一杯米のご飯の弁当を食べさせてあげました。
「おいしい!おいしい!」
夢中で弁当を食べている子どもを見ながら、吉四六さんとおかみさんは顔を見合わせて、「よかった、よかった」と言いました。
素敵なお話です♪
言葉では伝えなくても伝わるものはありますね♪
また、目の前にいる自分よりも弱い立場の人のために、、自分は我慢してでも支えるというかっこよさを感じました。
もちろん見返りなんか考えていないだろうし、「当たり前のことをしたまで」位に思っていることでしょう。
人が喜んでいる姿を見て、自分も喜ぶ♪
いいですね(*^_^*)
このデジログへのコメント
こんな回りくどいことをしなくてもこのおかみさんなら喜んで賛同したろうに
でもそこが良いんですよね
SYUZO-さん:そうですね
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