- 名前
- シュリ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- 特になし
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碧い瞳のアンティークドール 17話
2009年02月20日 08:16
【最後のご主人様】
長い刻を経て
貴女のもとへ…‥
もう…疲れちゃったの
いろんな人生を見すぎてしまったせいね
楽しい人生もあれば悲しい人生もあったわ
忘れたくても忘れられない
私の碧い瞳にしっかりと焼き付いていたから
だけど…‥
私は歳をとらない人形
人間はどんどん年老いて、私を残して死んでいく
ねぇ…‥
貴方の人生は悔いのない人生だった?
そして私は今、高値がつくアンティークドールとして、馬車が鉄の塊になった世界で微笑みながら外を見つめていた
私のようなドレスを着る人達はいない
短いスカートに色んな色の髪の毛
そして…‥
とても汚れた空気と暗い瞳の子供達…‥
私を見る人達など一人もいない
みんな四角い物を持って耳にあてていたり、遊んでいたりしているから
あれはいない人とお話が出来る機械みたい
私には関係のないものね
ドレスも着替えさせて欲しいのに…‥
この薄汚れた感じじゃないと駄目みたい
人間はかわっているわね
私には理解出来ない事だらけ…‥
あら?
珍しく私を見つめているわ
「ちょ、マヂヤバイ!何このゼロの多さ!」
「うわっ!一、十、百、千、万…そこから分かりませ~ん」
「キャハハ…」
「憎たらしい顔~!」
「汚いし、こんなん買う奴なんてオッサンだって!」
「わかるぅ~ロリロリのね」
言葉が理解出来るって辛い…‥
でもね
一番辛いのは何だか知ってる?
そう
人形は涙が流せない事…‥
だけどホントは夜中にこっそり泣いちゃうの
この世界には、私の知っている人達はもういない
私の最初のご主人様…‥
私との約束は?
また必ず迎えに来てくれるんじゃなかったの?
優しい女の子…‥
ミルクの匂い
とても大切な私のお友達
神様…‥
何故、人形には寿命がないんですか?
もし、人形にも寿命があれば…‥
約束も果たせるかも知れないのに
私にはわかっているの
もう、あの優しいご主人様は、この世にはいない事を…‥
だから…‥
私も…寿命を下さい
ある日、小さな女の子が私をじっと見つめていた
だけど、ごめんなさい
私は、もう疲れてしまったの
だから、貴女を見つめても笑えない…‥しばらくして、その女の子は、ママに手を引かれて、消えていったわ
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