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碧い瞳のアンティークドール 6話

2009年02月09日 07:20

【三人目のご主人様

ユリア

いつまでも一緒だって言ってくれたのに…‥


ガラスケース越しに私を見つめるカップル

手を繋ぎながら、私を見つめていた

「やっぱり、この子がいいわ」

「そうだね、僕もそう思ったんだ」

「二人の半年分のお給料が飛んじゃうね」

「気にしない気にしない」

二人は笑いながら、財布を取り出し、金額を確かめていた

「よ、よし…買うぞ」

「ええ」

こうして私の次のご主人様が決まった

仕事で帰りが遅いパパ
夕方まで仕事のママ
決して裕福ではないけれど、私は幸福だった

二人は働き者
だけど、どんなに頑張っても手に入らないものがあったの

それは…‥

「綺麗な髪…‥きっと私達に子供がいたらこんな綺麗な髪になっていたかも…」
そう、手に入らないもの、それは二人の子供だったの…‥

子供は難しいと言われ、病院にも通ったけれど、やはり無理だったみたい

パパママも諦めてしまった

そして、二人の子供のかわりとして私がこの家にやって来たの

「きっと、赤ちゃんのほっぺも貴方みたいに柔らかいのかしら…‥」

「お願い…‥ママって呼んで?」

ママ…‥ママ…‥
私は毎日呼んだわ

ただ、私は人形…‥
悲しくても涙が出ない
悲しくても微笑む

ママって呼んで…‥」

その言葉が、一番辛かったわ…‥

パパがいない時は、何時も泣いていたママの悲しそうな顔…‥

私の碧い瞳にしっかりと焼き付いた

神様…‥人形の私の願いでも聞いてもらえますか?

もし聞いてもらえるなら…‥
この夫婦に本物の子供を授けて下さい

毎日毎日、私は祈る
そして奇跡が起きたの

「嘘だろ…‥?」

「本当よ!だって、病院に行ったんだから」

「信じられない…」
「私もよ…きっと、この子は幸福を運ぶ人形だったのよ」

そう言って嬉しそうに私を抱きしめた

ママ…その涙は
嬉しい時の涙だよね?

私も嬉しい
毎日笑っているママを見ているから

でも…‥幸福は続かなかったの

ある日、ママが倒れてしまった

赤ちゃんは無事だったけど、ママは入院する事になったの

入院は予想以上に長くなり、お金も治療費と入院費でどんどん消えていった

そしてある日、パパが私に言ったの

「ごめんな…でも、お前を手放さないともう…‥」

辛そうな顔

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