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碧い瞳のアンティークドール 10話

2009年02月13日 06:38

【五人目のご主人様

マリー

とても可愛いがってくれた

だけど…‥


「今日も帰らなかったねぇ…‥」

私を抱いて、家から町へ続く一本道をいつまでも見つめていた

私を買った人はマリーの息子

戦争とか言うところに行ってもママのマリーが寂しくないように、私を買って来た

私をママに渡す時、二人共、抱き合っていつまでも泣いていた

「必ず…‥必ず無事に帰ってきておくれ」

「ああ、約束するよ」

どうやら戦争は
悲しく辛いものらしい

ママは私を抱いて夜中にずっと泣いていた

次の朝、笑顔で手を振りながら戦争へ行ってしまったマリーの息子

でも、私は知ってるの本当は涙が零れそうなのを必死に我慢しているのを…‥

姿が見えなくなるまで、息子笑顔で見送るママ

「ああ…行ってしまった…優しいたった一人の息子が…行ってしまった…うわぁーーー!」

しばらく佇み、泣き出した…とても辛い顔、悲しい泣き声

私の碧い瞳にしっかりと焼き付いた

ママは毎日、新聞を読んでいた

それは…‥

戦争で亡くなった人の名前が書いてあったから

私は新聞に目を通すママを見つめる

「よかった…今日もあの子は無事みたいだよ」

そう言って、私の頭を優しく撫でた

視力の弱った目で小さな文字を見つめるママ

指で一人ずつ確認している時が、私も一番不安だったわ

「ああ…隣のピーターが…何と言うことなの」

ママは泣きながら新聞を折りたたみソファーに腰掛け、息子の為に、セーターを編み始めた

ママ編み物が上手だった

私の帽子も編んでくれたの

雪のような真っ白な帽子

大好きだったわ

そして、セーターが完成した時に…‥

ついにこの日が来てしまったの

今日も新聞にゆっくり目を通すママ

私は、セーターとお揃いのマフラーをしていた

もちろん、ママが作ってくれたの

あっ…雪が降り出したわ

そして、降り出した雪が地面に落ちると同時に、ママの狂ったような泣き声が聞こえたの

「嘘だ…嘘だ…あの子は死んだりしない…必ず戻ると…約束したんだから…‥」
新聞を破りながら泣き叫ぶママ

そんなママを私はただ、見ている事しか出来なかった

ママは次の日から新聞を読まなくなった
読まなくなったかわりに、毎日外に出て、息子の帰りを待つようになったの

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