- 名前
- シュリ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- 特になし
JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。
碧い瞳のアンティークドール 3話
2009年02月06日 09:00
今でもその時のアンナの顔は忘れられないわ…
「アンナ…許しておくれ…パパはお友達を信じたばかりに…会社を無くしてしまったんだ…」
アンナにはよくわからなかったみたいだったけど、私には理解出来たの
優しいパパはお友達を信用して借金の保証人になっていたみたい
でも、友達に裏切られ、多額の借金が出来てしまったの
アンナと暮らしたこの家も、パパの会社も全て借金の為に手放すことになってしまった
「アンナ…今はお金が必要なんだ…わかるね?」
アンナは可愛い首を傾けながら、話を聞いていた
「人形を…売るから渡しなさい」
この言葉でアンナは、少しだけ理解出来たみたいだったわ
「いやっ!絶対いやっ!」
アンナは、私を抱きしめながら泣いたわ
「アンナ…わかっておくれ…その人形を売れば、暫くは飢えをしのげるんだよ…パパはママやアンナに、ひもじい思いはさせたくはないんだ…」
辛そうなパパの顔…
悲しそうなママの顔…
泣きじゃくるアンナの顔…
私の碧い瞳にしっかりと焼き付いたわ
アンナは泣きながら最後に私の髪を優しく撫でながら言ったの
「必ずまた一緒に暮らそうね」
私の頬に優しく悲しいアンナの涙が零れ、私も初めて涙を流したわ
「次に会う時まで、もう泣かない…必ず、必ずまた一緒に…約束よ」
私の小さな手を握り、指きりをしたの
だから、私もアンナと再び逢うまでは泣かないと決めたの
最後にしてくれたキスは、ミルクの香りはしなかった
だって…ミルクすら飲めない程、生活は追い詰められていたから
私を売って、アンナがミルクを飲めるなら喜んで売られるわ
だって、私達は約束したもの…
必ずまた逢うと言う約束を…
そして、私はまた暗い箱に入れられたの
アンナはいつまでも泣いていた
我慢しながら
泣いていた
さようならアンナ…
私はいつまでも待ってるから…
優しいキスをありがとう
温かい涙をありがとう
このデジログへのコメント
コメントを書く