- 名前
- シュリ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- 特になし
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碧い瞳のアンティークドール 2話
2009年02月02日 01:27
【一人目のご主人様】
アンナ
とても優しい女の子だったわ…‥
「パパ~!お帰りなさい」
「ただいま、ほら誕生日プレゼントだよ」
「嬉しい!開けてもいい?」
「勿論だよ」
箱の外から、話し声が聞こえる
真っ暗な箱が明るくなった時に、初めて見たものは、可愛らしい女の子が私を見て、嬉しそうに微笑む顔
「パパ、ありがとう!」
私を抱きしめながら嬉しそうに言ったの
最初のご主人様の名前は、アンナ
いつも私達は一緒
お散歩に行く時も眠る時も、アンナは私を離さず傍に置いてくれた
今でも思い出すのは眠る前に必ずアンナがしてくれる、おやすみのキス…
甘いミルクの香り
優しい声で、子守唄を歌いながら、いつも私より先に夢の中に行ってしまう
アンナが、私も大好きだった
毎日が幸福だった
だけど…
その幸福も長くは続かなかったの…
私を買ってくれた優しいパパは、家に戻らない日が多くなりアンナと私をいつも微笑みながら見ていたママからは、微笑みが消えたの
毎日、夜中までパパとママは喧嘩をしていたわ
アンナはいつも、私を抱きしめながら泣いていたの
そして…
ある日、パパがアンナに言ったの
今でもその時のアンナの顔は忘れられないわ…
「アンナ…許しておくれ…パパはお友達を信じたばかりに…会社を無くしてしまったんだ…」
アンナにはよくわからなかったみたいだったけど、私には理解出来たの
優しいパパはお友達を信用して借金の保証人になっていたみたい
でも、友達に裏切られ、多額の借金が出来てしまったの
アンナと暮らしたこの家も、パパの会社も全て借金の為に手放すことになってしまった
「アンナ…今はお金が必要なんだ…わかるね?」
アンナは可愛い首を傾けながら、話を聞いていた
「人形を…売るから渡しなさい」
この言葉でアンナは、少しだけ理解出来たみたいだったわ
「いやっ!絶対いやっ!」
アンナは、私を抱きしめながら泣いたわ
「アンナ…わかっておくれ…その人形を売れば、暫くは飢えをしのげるんだよ…パパはママやアンナに、ひもじい思いはさせたくはないんだ…」
辛そうなパパの顔…
悲しそうなママの顔…
泣きじゃくるアンナの顔…
私の碧い瞳にしっかりと焼き付いたわ
アンナは泣きながら最後に私の髪を優しく撫でながら言ったの
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