- 名前
- シュリ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- 特になし
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碧い瞳のアンティークドール 8話
2009年02月11日 01:01
【四人目のご主人様】
レベッカ
私は何もしてあげられなかった
貴女は幸せだった?
雪の中、ずっと佇み私を見ている人がいた
傘もささずに
ただ、私を見つめていた
何度も値段を見ながら溜め息をつく
そして、どこかへ消えてしまった
とても悲しい顔をした人だった
全てに絶望したような
そんな人だった
そして、またその人はやって来た
今度は二人で
「ほら、この人形なんだ」
「可愛いわ…レベッカが何時も描いている人形にそっくり」
「僕もそう思ったんだ…‥だけど」
二人は値段を見つめていた
「あなた…買いましょう」
「えっ?」
「私達が切り詰めればいいだけの事…‥レベッカにこの人形を見せてあげたい」
「わかったよ、買おう」
こうして私は、この夫婦に買われたの
でも、やはり二人共暗い顔で、何故そんな顔をしていたのかわからなかった
そして暗い箱をそっと開けたのは、可愛い女の子
だけど、どうやらお家じゃないみたい…
白い壁、白いカーテン
明らかに今までとは違う雰囲気のお部屋
「可愛い!パパ、ママ、ありがとう」
女の子は力無く私を抱きしめた
部屋の壁には、私そっくりな人形の絵がたくさん張ってあったの
「レベッカ、注射の時間よ」
普通の子供なら泣き出してしまうのに、レベッカは顔をゆがめて我慢したの
それも毎日…‥毎日
そしていろんなお話もしてくれたの
私の指定席はレベッカの隣
豪華なドレスはくちゃくちゃになって、みえないけど、そんなのどうでもよかった
そして今日も、私にそっとお話をするレベッカ…‥
私はこの時間が一番辛かった…‥
今夜も隣で眠る枕元で私にそっと、話し掛ける
「私が居なくなっても、パパやママが悲しまないように、たくさん絵を描いたの」
「でも…‥もうクレパスも持てなくなっちゃった…‥天国は楽しい所かな」
そう、レベッカは自分の事を知っていた
もうすぐ天国からお迎えがやってくる事を…‥
だけど、レベッカは必死に隠す二人の為にわざと気付かないふりをしていたの
「だって…‥ママの目、何時もうさぎさんみたいなんだもの」
レベッカは賢い子だった
大人の下手な嘘に、騙されてるふりを続けていたの
だって、そうしないと大好きなパパやママが悲しむのを知っていたから
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