- 名前
- ヴォーゲル
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- 年齢
- 74歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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夜汽車にて
2008年02月23日 11:08
オランダの首都アムステルダムの中央駅は特にこの4年ほど自分の道楽の一つであるジャズコンサート通いのために使う場所なのだが時にはそのインフォーメーションの不確かさで首をかしげることがある。
何処かで事故があり不通になったり電気系統が混乱することがよくニュースで報道されているけれど事故だけでなく発着時間を示すボードなどに正確でないことが示されるので皆困惑する。 そういうときは駅員に聞けばいいのだがそれも100%信頼できるかというとそれも確かではない。
しょっちゅう通っていて慣れている者が困惑するというのならまだ問題は少ないのだろうけれど地方からのおのぼりさんや外国から来る人々をこれで惑わせる恐れが大いにあり、だから日頃しばしば非難、感嘆のメディアでの批判となってもなかなか改まらない組織でもある。 おのぼりさん、外国人といえば私のこと、この国に長年住んでいて頻繁に使っていてもこのわけの分からなさには慣れない。
一月からダイヤが変わり基本的には旧来のダイヤを継承しているものの表示がまちまちである事がある。 十数本あるプラットホームに続くコンコースの表示が幾つかあるりそこでの表示が入り口のものと違い、夜であればそれぞれのプラットホームに導くエスカレーターで改札する駅員の情報も時には不確かであることがある。
さて、今夜、ジャズのコンサートが済んで気持ちよく中央駅まで歩き、港に接する夜中の1時まで開いている裏口から入ってモニターに写るダイヤを見ていればあるはずの自分がそれに乗って帰る列車の情報が違っていて無鉄砲な文字で。 はっきり覚えていないものの10分以内に出る列車があるはずであるからそちらの方に行くと乗るべき12時42分発の表示がある。 プラットホームに出てそこの表示を見れば自分の乗るべき夜汽車なのだが自分の駅に停まるという表示がない。 そして急行であるにもかかわらず普段は停まるはずの無い町の名前が出ている。 奇妙だと思い、30mほど歩いて車掌の方に近づき訊ねようとするとあなたの駅はとまります、と唐突にいわれて驚いた。
表示がまちがっているんです、あなたの駅には停まります、ご心配なく、というわけだ。それに従って列車に飛び乗るとこれが発車した。
隣の四人掛けの椅子を占領しているインドネシア系の二十歳にまだ達していないような如何にも若い娘二人が出てからそわそわし始めハーグの名前が無い、別の列車に乗り換えなければ家へ帰れないと小さなパニックを起こしている。 わたしが先ほどの車掌の言を宜しく受け売りをするとそれが杞憂だったと笑顔も戻り、おちついて二人でひとしきりおしゃべりをし、私も彼女らに頼まれ車内の彼女らの記念撮影をし、自分も先ほどまでコンサートの模様を撮っていたメモ用のカメラで彼女らを撮ったりもしたけれど皆、耳のプラグから音楽をききながら何かを読んだりものを口に運んだりしていた。
自分の駅で降りようかと停まりかけた列車の入り口の扉のところに来ると車掌が、どうだい、あんたの駅で停まっただろうというので念のため、先ほどの娘達の降りるべきハーグの駅が表示に載っていなかったけれどこの駅と同様本当は停まるのだろう、とたずねると、いや、その駅は表示通り停まらないという。 それではそこに停まると信じていた娘達はそれではどうなるのかと車掌にいうと、じゃあそれでは車内放送ではっきりと言おう、それで彼女達も途中で下車して次の各駅停車の電車が来るのを待てばいい、と笑顔を見せてプラットホームに出た我々を見送り車両の前後を確認して笛を短く吹き閉まるドアの隙間に入り込んだ。
真と偽の情報が混ざり合う状態に呆れる一日だったが、彼女達はちゃんと降りるべきところで降りられたのか、何十キロも向こうまで持っていかれないことを念じて駅の外の自転車置き場に向かえば1時を廻っているのにこの時期には暖かい9℃の夜がそこにあった。
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