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もうひとつの『知らなかったせかい』

2020年01月11日 23:56

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  前回書いた、東日本電信電話株式会社様の提供した『伝言ダイヤル通話サービス』を使い始めた頃に、社員寮住まいだった部屋(足立区足立3丁目)に固定電話を入れました。設備負担金7万円余もかかり、当時としては非常に高額な『買物』でした。しかし、これが新たな『世界への窓』になってくれたのですから、投資の価値はじゅうぶんあったかと。今の携帯・スマホとはまったく違う、社会への『ドア』でした。電話を引いたからと言って、誰からもかかっては来ません。ましてや、寮の部屋に居るのは帰宅して、翌日でかけるまでのわずかな時間。たいていは寝るだけでした。それが、徐々に変わっていくのですが....。

 いわゆる『伝言ダイヤル』、当時のNTT仕様のサービスは通話料が高かったです。もともとのコンセプトが、外出先などでも『連絡が取れる』手段ですから、使うのは1分とか2分の想定、決まった相手との連絡手段。(公衆電話しかない時代のことですよ、今の若い方にはわからない世界かも、ですけど...)。

 オープン番号の『掲示板』みたいなところに入っているメッセージを聞くと、まだサービス開始直後は『個人PR』よりもどちらかと言うと『遊び仲間募集』のようなサークル的なものがありました。そんなところをいくつか覗いているうちに、面白そうな『クラブ』に行き当たり、自分でも伝言を残すように。そんなこんなしていると、たまには集まりましょうということで飲み会などが企画されます。雑多なメンバーでの飲み会、傍からみたら『この人達、なんの集まり?』。会社生活ばかりのアラサー男子にとっては、まったく未知の世界でしたが、とても楽しかった。そんな飲み会がいくつか重なっていくにしたがってメンバーも増えていきました。そんななか、一人の女性に惹かれていきます。

 練馬区在住の主婦さん、当時まだ30代かな、こどもさんが二人居ると言っていた。美人という感じでもないしスタイルがイイというわけでもないのだけど、なんかホンワカした雰囲気が好ましい。旦那さんお仕事が少し変わっていたせいか、夜けっこう出られる環境だったみたい。2回目くらいの飲み会のとき遅くなり、帰りが一緒方面だったので二人だけに。もう一軒飲み直してしまったのか、経緯はよく憶えていないのですが終電を逃してしまい、ホテルに泊まらざるを得ないことに。私は好ましく思っていたのですが、彼女もまんざらではないようでいやがる様子もなくベッドイン。少しスキンシップをとったところで、彼女がひと言。

 『あたしね、旦那以外にも付き合っている人がいるの。』 それでもよければ、抱いてもいいわよ、みたいなことを言われました。それで考え直した訳ではないですが、無理に先には進めずスキンシップだけでオヤスミしました。その後、何回か飲みに行ったりしてた何回目か、駅前で別れるときに、その付き合っているという方の男性の車が待っていて、彼女はそれに乗り込んでどこかへ消えていきました。どこにでも居るような、ごく普通の主婦。その人の中にも、こんないろんな人生の裏面があるのか、と思い知らされた瞬間でした。 独身会社員が『知らなかったせかい』....。

 その彼女とはそれからもたまに電話かかってきたり、たまに近くの光が丘公園で会ったり(その後会社の寮を出たわたしは板橋練馬の境に引越してましたので)、いい友達関係は続きました。男女の関係にならなくて良かった、例なのかな?

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