ネットの印象的な話、3つ

[主人からのプロポーズ]
就職3年目の時、精神的に病み、自律神経失調症と軽いうつ病になった。
仕事からしばらく離れ、休息を余儀なくされたが、気持ちはただ、焦るばかり。
凄い勢いで進んでいく世の中に取り残されているようで、自分の立ち位置がわからず、成人式をとっくに終えた自分がまた両親の世話になり、親不孝をしているという自分を責める気持ちにも襲われていた。
同級生はどんどん結婚していく。
結婚式に参加する数はどんどん増えていくが、精神的な病気は「完治」という状態が目に見えてわからないため、自分は結婚からも遠く、仕事からも遠く、本当に孤独だった。
そんなとき、励ますわけでもなく、支えてくれるわけでもなく、ただ普通に、ただただ普通に接してくれていた職場の上司だった彼。
私の体調がゆっくり戻っていくのを、いつの間にかそばで見守っていてくれた。
そして自然と交際へとつながり、交際スタートから1か月後、私が職場復帰を決めたとき、彼が「結婚しないか」と言ってくれた。
友人なのか職場の上司と部下なのかそういう期間はあったにしろ、恋人同士としてはたったの1か月。そして、病み上がりなうえ、職場復帰目前で社会にまた踏み込む不安だらけだった私は結婚なんて到底考えられなかった。
そして、「結婚はまだ考えられない。どうして結婚する必要があるの？」と答えた。
すると、彼が「婚姻届は、ただの紙切れだけど、この紙切れ一枚で君を守ることができる。今のままだと、君に何かあった時には、まずご両親に連絡がいき、会社のもっと上の上司に連絡がいき、『恋人』というのは全く効力がない。けれど、婚姻届一枚で、まず僕に連絡がくるようになり、職場で何かあっても、僕が話にいくこともできるし、体調崩して病院にかかることになっても、僕が直接医者と話することができるようになる。これからの君を守るためには、『結婚』が必要なんだ」と。
嬉しくて涙が出るわけでもなく、素敵な言葉に感銘を受けるわけではなく、ただ、そういった考えに衝撃をうけた。
そして5年、今もその紙切れのおかげで守られて生活している。


[海軍基地にて]
呉海軍墓地でお会いしたおばあさんのお話。
軽巡洋艦神通の慰霊碑を一生懸命掃除しているおばあさんが居ました。
私が「こんにちは、寒いですね。」と挨拶すると、ものすごいチャーミングな笑顔で、「ああ、こんにちは、さむいねえ。」と答えてくれた。
時間があったので、一緒に掃除の手伝いをさせてもらった。
その時にそのおばあさんから聞いた話。
神通には、おばあさんの初恋の人が乗艦していた。
相手には、おばあさんの気持ちを伝えられないままだった。
あの時自分の気持ちを伝えられなかったのが今も苦しい。
最後に「私はね、もうすぐお迎えが来ると思うけど、今からとても楽しみなんよ。あの世に行って、あの人に会ったら、ホントは私あんたの事が大好きじゃったんよ。と言うの楽しみ。でもね、あの人は若いまんまで、私はこんな、しわくちゃのおばあさんじゃあ、笑われるかむしれんねえ。」と笑いながら話してくれた。
不覚にもお話を聞きながら涙が落ちた。
そしたら、おばあさんが笑いながら「ええ若い者が、めそめそしんさんな。昔の男は、親の死に目に会っても泣かんかったんよ。しっかりしんさい。」と言ってくれた。
自分の生き方を考えさせられる出来事だった。


[タクシー]
飛行機に乗る寸前まで仕事をしていたせいか、なかなか頭が切り替わらずボーゼンと電車に乗ろうとしていた時ふと気がついた。
「あ、搭乗手続きに間に合わないじゃん」
財布を見ると所持金５０００円。
アワアワ。
速攻タクシーをつかまえて５０００円で羽田まで行けるか訪ねると「あと、２０００円足りないかな」と。
大きな荷物持って銀行行ったりしたら絶対間に合わない！！！とションボリしていると「急いでるんでしょ?お姉ちゃん乗りな!」と運転手さんニッコリ。
運転手さんに飛行機の時間を伝えると「ギリギリ間に合うよ、というか間に合わせる。しっかりつかまれ」と鬼のようなスピードで一気に高速へ。
その間話してくれた運転手さんの武勇伝は楽しかった。
（東京駅から新横浜まで新幹線追っかけて間に合った、とか）
無事出発の１０分前に空港に到着。
所持金全部はらってほぼ無一文状態で飛行機乗ったのは初めてだったけれど、あの運転手さんに会えていなかったら、と思うと…。
ワタナベさん、ホントにありがとうございました。
おかげさまで九州出張はいい思い出になりました。
あと、最近財布にはなるべく１万円以上をいれておくようになりました。
ご迷惑おかけしました。
忙しいと、あの時の運転手さんをふと思い出すんです。