春宵束の間酔って候

惜しいことをした。

演者、Mちゃんの悲しい顔と
忙しなさに
ちゃんと向き合うこともせず、
けれどパフォーマンス自体は
ネットでDLした音より
数段素晴らしく
どうにも耳を傾けづらい
安定しないヴォーカルも
初めて、いいな、と思えたし
そこそこ気持ちは
満たされたのだけれど、
そこまではまぁ、よいとして、

贅沢すぎる時間に
やっぱりみすぼらしく貧しい神経とカラダは
即座には反応できず、

後になって
惜しいな、
なんて思うことばかり
そのひとつが
写真なわけで

あまりにすばらしいピッチで
ご馳走してくれる相手が、杯をあけつつ

「これ、食べてよ」

とかなんとか云うもので、
こちらはたまのご馳走に
じっくりと味わいつつの
真っ白な酒瓶
傾けるたび、あぁ、と長嘆息を繰り返し

胸元からおねおねと
でっかいPHSを取り出す暇など
あるはずもなく
ただひたすらの、舌鼓・・・

菜の花の胡桃味噌和え
豆腐の燻製
酒盗クリームチーズ
鯵なめろうと、鰭その他の唐揚げ
鰆の…なんだあれ？タタキ風にさっと燻ったもの
海苔茶漬け
会津三種
讃岐
土佐
備前
うぅむ・・・
四谷の、あんな場所に
あんな美味い店があるとは・・・
雑然としたかんぢが
またよかったす。

知性がおいつかなかったことだけ、
それ以外は
つまり、自分のアフォ以外は
すべていうこともなし、の
映画にとても救われた
幸せな夕餉、

強いて言うなら、
こうして心地よく
ちょっとだけ冷たい夜風に吹かれ
ちょっとだけ幸せな気持ちを
共有できる声が
欲しい・・・

ただの酔っぱ、なのか？