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never ending

2008年03月22日 00:25

never ending

薄日も差さない窓の外に
やがて夕暮れがおとずれ、
家々の軒端が、
幾分マゼンタの入った鉛色の空に
呑み込まれて行こうとしている

ぢぃぢぃぢぃと、どこかで電気製品悲鳴をあげていて、
私設図書館の職員は、申し訳なさそうに
天井を見上げながら、うろうろと
音の発生場所を探して歩く

蛍光灯ぢゃ、ありませんか?」

うろうろされることが気になってしまうボクは、アトピーの手の甲を掻きながら歩き回る女性職員に、微笑みながら言葉をかける。

「そうですかねぇ・・・」

などといぶかしげなまま、彼女はやっと席に戻り、ボクはまた落ち着いて、暮れなずむ窓外に目をやる。

何十年ぶりかで、その図書館を訪れたのは、まだ地球が停止する前だった。
間断なく、いくらでも蘇る記憶と襲い掛かるイメージ性器の突端にまとわりつく粘膜の記憶に
食事も水も喉を通らず息も絶え絶え、
さりとて仕事は待ってはくれるはずもなく
這うようにして二階への階段を上っていたのは、ついこの間のこと、
その頃、同じ夕方の窓の外には夜の帳が下りていた

痛みに耐えかねているにもかかわらず
まるで乳飲み子が母親乳房を求めるかのように、どこかでそんな自分の状態に慣れてしまうこと
あるいは痛みを感じ取る神経が
鈍くなってしまうこと、
そんなことは、命を懸けても拒まねばならぬ、そう思ってさえいたのだ。
痛いのに。今だって。

ふぅ。

前髪を吹き上げると、
こらえきれずにもれ、吹きかかった熱い吐息を思い出す。
けれどもう、ボクの地球は動き初めている。

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