誰も、何も、応えてはくれないことを、わかってはいても、敢えて尋ねたいこともある

ま、もう、どうでもいいことではあるが。

なぜ、そんなことを、今さら、愚痴めいて語るのか、
が、わからない

お見合い、なんてしたことがない。
させられそうになり、親と絶縁した、ぐらい、わけのわからないシステム、だと思っている。
知っているのは、実姉の数回にわたる、見合いに関する諸々の、
くっだらない、経緯の記憶。

それから、数十年が、過ぎていて、
お見合い、というシステムに、どんな変化が起きているのか、
知らないし、興味もない

けれど、そんなことが、あるんだろうか？という思いはぬぐえない。
なにが、そんなこと、か・・・について記すと

東京の、ほぼ真ん中、とある日曜日
お見合いの場で顔を合わせたのは当人同士ふたり30前の、男と女
および、男の職場の上司
その上司という男性と、面識のある女性の母親
とにもかくにも、その二人の間で話がまとまり
若い二人をひき合わせている

男性は、父親は既に亡く、
母と姉の三人暮らし

・・・で。
経緯はともかく、として
見合い、している

その事実を、男の家族、つまり男の母親と姉は、知らない、という

なぜ云わないのか？という問いに

「めんどくさいから」

・・・ありそうな話、ではある。
いろんなどうでもいい、推測はいくらでも並べられる、として。
その、わずらわしさ、はとてもよく、わかる。

笑顔が素敵、だという、その男が
どんな心理状態で、それを相手の女性に伝えているか、も

女の子の側が、かなり、の決意を持って
お見合い、というシステムに身を投じた
という事実を、
お見合いの前の日、
その女の子とセックスをしたボクは
世界の誰よりも、よくわかるような気もして

・・・まぁ、そのあたりを嚆矢として、
全体に漂う、相手側、のやる気の無さが
一体、何に起因するものか、を測りかね
自分を責めても見、
母親に打ち明けもしてみたものの
どうにも、処しきれない、という状態で
ボクと会っていて

美味しいもの、を食べながら

こころにもない励ましと
でも、自分を見喪わないほうが、いいとかなんとか
まぁ、当たり障りもない言葉を連ねていると

何をどう、思い浮かべたのか
或いは、思い出したのか、
目が潤んでみたり、
目頭を押さえてみたり、
いくばくか、の　こみあげてくるものが
しばしば堰を切って
頬を濡らしているさまを目の端に
ボクは見て見ぬふりをして
やりすごす

疲れ果てるほど
いろいろ、考えた末に、
飛びこむように
進み始めた道、なのだ

女の子、の側の
その決意に対して、
結びつきたい、幸せ、のようなものに包まれてみたい、
という、まっとうな願望、
いわゆる、コンカツの一環としての
情熱と努力に対して、

男の側の、
そのあっけらかん、ってものが、
どれほど、痛かったか、はわかるのだけれど

わからない、のは

ひとまえで
愚痴を云っている姿を見たことがないその子が
今さら、なんで、そんなことを

ほかならぬ
ボクに
いいつのりたいのか、
ということ。

まぁ、それが娘の幸せ、と
女の子としてのプライドよりも、他のことを
優先させる母親を除けば

ボク以外、
地球の上の、他に誰も、
自分の落胆を
理解してくれそうな人間は
いない、ということだろうけれども。

思わぬ嵐に、なぎ倒されたような
期待と望みを
ふたたびやさしく立て直してくれるのは、
やはり、その、
煮え切らないとも思える男の
笑顔しか、ないような気もする

やはり、ボクにはなにもできない
せいぜいが、
ボクのコートのポケットにしのびこんでくる
寒さに震える手を握りしめ
かつてキミだけに捧げたぬくもりを
かすかに伝えてあげる、こと
・・・ぐらい、なんだけど