覿面

ドイツ映画の配給会社の知り合いから
試写会のお知らせ
のべつ暇、というより
外出しないと時間の区切りがつかないので
アンケート書くだけだからと応諾
明日夜、渋谷にて鑑賞予定
「子供はまだ？」
と、結婚半年の彼女にたずねると
けちゃけちゃと、高い声で笑う。
そういえば、貴女を訪ねたときに
同行した女性にはふられましたよ、
なんて言っても意味のないことが
頭をよぎってみたり。
映画の上映会で紹介しただけ
まったく覚えていないかもしれない。
ま、そんなことはどうでもよくて
その明るい声に彼女と、6歳年下の
恋「亭主」との蜜月を思う

できたばかりの
自社ビルを持つ大きな製作会社に
呼び出されたのは一月ほど前
三回も足を運んで企画書を作ったが
その後連絡ないためギャラを督促
遅くなったことをわびもせずすずめの涙
今後二度と付き合わないと
いっているような低額に驚く
いらねぇよ、
と、いえたら気持ち、いいのだけれど･･･

今日のｍｉｘｉは　うるさい。
トップ画面のアイスクリームといい
足跡の北斗の拳といい、
「かんぱーい」「かんぱーい」
うるさくて、最後まで絶対見ない
逆効果だろそれ、さ。
うるさい。うるさいうるさい。

舌打ちしながら息をぬいたり
後はうつうつと調べ物

戦地で死んだ兵士の係累すべてに
とどくものかどうかはしらないが、
「戦死状況ニ関スル件」
いわゆる戦死報告書などをもとに
ある方の父上の、中支戦線における足跡をたどる

地名をいくら重ねられてもちんぷんかんぷん
けれど、地図を見ながら、
いままで「大陸」とか「日中戦争」とか
あるいは「関東軍」　石原莞爾、板垣征四郎、東条英機
辻政信、そんな手合いをいっしょくたに並置し
ことを大雑把にとらえすぎていた事を反省
いけねぇ、「虹色のトロッキー」まだ途中だ
と、図書館に後の5冊を予約

ひとつひとつ、
ひとりひとりの思惑が
微妙にからみあい、影響しあい
取り返しのつかないカタストロフへと至ったこと
その薄皮を重ねるような
事態の静かな進行を思うと
いささか不気味な思いに囚われる

その根底にあるのは
平和な、静寂な地平の向こうにいる
なんびとにも流れる暖かい血に
思い至ることの無い
イマジネーションが
決定的に不足した人間たちの
権力や欲望への無闇な固執
域内だけに通用する
論理と方便の濫用

ものごとを決めていってるのは
そんなことに血道をあげている連中なのだ

いっしょぢゃん、今と。

薬害エイズだって
顔の見えない、
責任を決して追及されないおっさんたちの
仕業だった。

あれから一体
何が反省され
どこがどう、よくなったのか？

よくなったとして、
ぢゃぁ、タミフルで死亡者が出るって、
なんなんだ？


夕方、事務所に電話するが
午前中は「いると思います」だったのに不在
やめようと思っていた携帯にかける

例によって慇懃な物腰
恥ずかしいのでいつもより一段と
ためらいがちにお願いすると

「おやすいごようです」

ほっ。

さしあたって「虹色のトロッキー」
その後はジョン・ダワーが指摘してた
辻政信の悪行三昧
あれは石原慎太郎ぢゃないのか？
そんな小物ぢゃ、怒るか辻も。

あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”
通天閣の下で　串かつが食いたい！