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Mona Lisa Overdrive ; 16-11-07 at BIM Huis

2007年11月20日 07:26

Mona Lisa Overdrive at BIM Huis

Fri. 16 Nov. 07


Mona Lisa Overdrive

Stefan Lievestro (ac ousticbass)
Jessevan Ruller (Fender Telecaster g)
Arno Krijger (Hammond B3)
Hansvan Oosterhout (ds)

1st Set
1 Spritz
2 Gerommel in depolder
3 Potate Eater
4 Oh, Susanne !
5 Talk

2nd Set
6 Red Ribbon
7 Mona Lisa Overdrive
8 Swabia
9 Picknick at Bikini
10 Chinese Wapla?

Encore

もう大分前にアムステルダムで誰かのライブの時の休憩中そこのバーでイェッセ・ヴァン ルラーとドラマーのハイス・ダイクハウセンがビールを飲みながら話しているところに行き合わせて立ち話をしているとイェッセが、ベースのステファン・リーヴェストロとハモンドオルガンを入れてリーヴェストロの曲をCDにしていると聞いたことがあった。 その後、ラジオでCDとなったものの紹介がありそれを聴くと重厚でかすかなユーモアも含まれたこのベースマンの特徴ある曲想にソリッドギターワウワウや歪ませたサウンドを加えておもしろいものにしあげてたなあという印象をもってこの日のライブに望んだ。

リーヴェストロに興味を持ったのは2年半ほど前の小さな町の小さなジャズフェスティヴァルでそのときの模様をを次のように記した。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/4633580.html

その後このグループでこのときの作品を 06年3月に Breakfast In Walhalla というCDに結実させたのだがその披露コンサートに出かけてこのようにも記した。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/28123540.html

会場に入るとJvRがギターペダルの周りに今までに見たこともないほど色々な小箱を並べて調整しているし彼のギターで今まで見たことのないフェンダーテレキャスターが立てかけてあり、これもってたの?と聞くと2ヶ月ほど前に買ったという答えが返ってきて、JvRの年代だったら若いときからレスポールストラトキャスターギブソンのGモデルなどを弾いてロックなどの経験があるに違いないと思っていたのだが初めからジャズギターに専念したという答えに意外に思ったものだ。 彼の初期のCDでは音を歪めたりワウワウをかけたりしているものがあるがそれもレヴィンを使ってのことでテレキャスターは新しいおもちゃになったに違いなくそれで音の幅を広げているのだろう。

この日のコンサートでその効果はこのグループの名前を冠したCDの曲、7にはっきり現れているもののそれはこのアルバム全体にもいえることだ。 沖縄民謡スケールを彷彿とさせる曲想に変則リズムを加えエレクトリックマイルスバンドに通じるような底から迫力を追い上げるようなものを押してコンサートでは CDに比べて音にもっと広がりがでているようで各自のソロもレコーディングを発展させて広がりを持たせているようだ。 これはライブバンドで聴くとそのノリが一層広がってきて特にマイルス保守的批評家層から批判を浴びていた頃の重いリズムセクションから押し出される音のブードゥー的な黒魔術サウンドがまたここで聴けるという懐かしくも体をうねらせる数曲は2010年を目指す一つの動きなのだろう。

この日の曲目は5,10を除いてほとんどCDに収められたものなのだがリーヴェストロの曲想が面白いと思ったのはその独特なユーモアとも言うべき構造で単純なリズムの繰り返しをウッドベースドラムで繰り返し徐々に水位を上げてその圧力で雪崩を打って頂上に向かうという別段他のグループや一般の楽曲とは変わらぬもののどこかでそのメロディーコード進行に15、6歳の少年の世界が散らばっているような気がする。 独特なファンタジーとでもいうのだろうか。 ゴッホの「芋をくうひとびと」「ポルダーの騒乱」どこにも出典のない「白鳥の国」「ビキニ環礁?のピクニック」というような題名が連なっており、「中国の、、、、」これはどういう意味だと直接バシストに尋ねても中国は頭にあったけどそれからは別に考えなかったからこういう言葉がそのとき出てきてたまたまそうなっただけで自分でも題名を覚えているかどうかわからない、といいだす始末だった。 確かにテーマ中国メロディーのように響いていてそれが徐々に変奏していくところに趣がある。

ドラムオースターハウトは大抵が単純な8ビートに似たリズムを刻むのだがこれはリーヴェストロの戦略でこれが徐々に腹にこたえてきてそのうちカオスになるとオースターハウトの怒涛のドラミングがルラーの指使いとクライハーのハモンドオルガンと渾然となりカタルシスに導かれる。 これが誠に心地よい。

「おお、スザンナ」はフォスターアメリカ民謡に触発されたのか彼の頭にあるアメリカ中部の印象なのかそこは想像の域なのだが何年も前にマセニーがベースデュオでゆったりとしたアルバムを作ったときの臭いが少ししたのだがここで思わず頬が緩んだのはテーマから「雨降りお月様、雲の中、、、、」というメロディーを思い起こされて、アメリカ中部原野で見る「雨降りお月様、、」も悪くはない、と思った。

少年時代にロックを通ってジャズを聴き今、これに接するのは単なるノスタルジーではなく新しいジャズフォーマットでもあり若者達がこの現代風に磨かれた技術の成果とダイナミズムに接するときこの日の聴衆は老いも若きも07年のジャズを満喫しているのだ。

コンサートの後マネージャーに日本公演の可能性を聞いて見たのだがその希望はあるもののまだ引き合いの段階にもなっていないそうでこのCDにしても日本販売の目処もついていないそうだ。 その横で興奮した地方ジャズ愛好会の主催者達がこれから何時間もかけてオランダの東西南北それぞれの端に車を飛ばさなければならないのに各人この日のコンサート評といつそれぞれの地方にこのグループを呼べるのかというような話をとめどなく続けていたのだが従来のJvRのファンに彼のテレキャスター経験を聞かせ日本のロックからジャズに向かうもっと若い層とギターの喜びを分かち合うのもいいのではないかとの感想もある。 細々とネットの輸入CDあたりでは手に入れられるかもしれないが日本の店頭に出てそれ以上に日本の大ホールの大出力アンプ、立ち見席、満場騒然、というようなジャンルをまたがった有無をいわさぬジャズ体験ができるまでに至ればおもしろい愚考しながら夜汽車の駅に向かったのだった。


Picknick at Bikini
Mainlandrecords   MLOD LTMRM4301
www.stefanlievestro.com

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