- 名前
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- 自己紹介
- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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六代目笑福亭松鶴、「三十石」を聴く
2007年11月13日 10:37
てんこもり! 六代目笑福亭松鶴全集
第五巻 三十石 NHK CD ANOC 7005
1973年 6月14日録音 29分07秒
29分でやっと船が出る。 私のはるか以前の記憶ではのどかに淀川を下る船とその変わる景色に応じて船客が互いの来歴を語ったり時には堤を行きかう人々とも言葉を交わし、大阪が近づくにつれ旦那遊びの屋形船とのやり取りを囃子の三味線、太鼓で語る噺のように理解していたのだが、それは他の噺かこの噺の続編なのかもしれない。
今なら伏見から淀屋橋まで30分もかからないものを長閑な噺だ。 想像の域なのだがこの噺が3時間も4時間もかかって完結するものならば聴いたみたい。 電車の30分を過去に持ったかもしれない豊かな時間を冷たく携帯を個別にいじくる空間に投げ入れてそれが寄席の復権に繋がれればそれが文化の今日的意義になるかもしれないと屋形船の酒ではなくキーボードの隣のジンの壜で朦朧とした頭にそんな想いがよぎる。
この中に出てくる人物群の名前が面白い。 六代目自身の名前も挟まっていたのではないか、当時の長嶋茂雄も現れる、堺の刀鍛冶から包丁のブランドともなった菊一文字がありこういう江戸をしのばせる名前があるかと思えば明治も挟まって丘蒸気の駅をステンショとは初耳だった。 なんとも関西的なうれしい聞き取り方だ。 人物の性格付けは落語における噺家の芸の見せ所なのだがそこに挟まるさまざまな固有名詞は講談とは違った落語空間のリアリティーを引き寄せる。
この続きの屋形船との掛け合いをききたいものだ。
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