- 名前
- かつみ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 57歳
- 住所
- 神奈川
- 自己紹介
- 暫く休みます
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「セカンドヴァージン(ともこの場合)」
2024年10月01日 06:25
私は恋をしている
この感覚、ときめきは
旦那との恋愛、結婚・新婚の時に
娘が産まれるまでに
震えるほどの悦びの中で
女として生きる充実感の中で
感じていたものやった
ううん
恋とは違うんかもしれん
疑似恋愛というやつかもしれんな
いや
それとは違うかな
ただ、若い時の恋を追いかけとるだけかもしれん
〇〇
あいつは職場の同僚
いや隣の部署だけど上司か
元はと言えば
大学を出て会社に入った時の同期
まぁ
内の旦那もそうなんやけどね
東京のある支社にこの春に異動になって
久し振りにあいつに会った
「おっ、相変わらずいい女だな」
そんな軽口も変わっていない
「あんたも、相変わらずの色男やん」
私もこいつには、20代の時のように話せる
「奥さん、元気なん?」
そう、こいつの嫁は私たちの同期
出来ちゃった婚で会社を辞めていった
私の友達でもあった
「あぁ・・」
「離婚したんだ。この春、息子の大学卒業を待ってな」
ふと見せる寂しそうな悲しそうなあいつの顔
もう、そんな大人の男の表情を見せるようになったんやね
でも昔
ちょっと似たような表情を見せたことがある
そう
付き合っていたあいつと私
ちょっとした恋人同士の諍いが原因で
少し疎遠になっていたあの時
「同期の里美が妊娠した。俺の子や」
「里美は会社を辞めて、俺は里美と結婚する」
そう
あたしにはやっぱり悪いという気持ちもあったんやな
あたしを呼び出してあいつは私にそう言ったんや
あの時の寂しそうな悲しそうな顔に
ちょっと年はとったけど
あんときの顔に似ているなと思ったんや
〇〇
旦那とは
あいつと別れて
ちょっと自棄になっていた時に
優しくされたんが付き合って
そして結婚するきっかけやった
娘が産まれ
幸せやと
幸せな家庭やと
幸せな人生やと思っとった
だけど
いつ頃かな
旦那とのボタンの掛け違いが
相性のずれいうか
思考の考え方の違いというか
そんなんでいらついて
そんなんでケンカして
なんやかんやで
ここ数年はすっかりレスや
でもお互いに
離婚しようとまで言わんのは
やっぱり娘が可愛いんやな
娘に悲しい思いをさせたくないんやな
旦那にはここ数年
なんとやくやけど
女がおるような感じがしとる
でも私もそれを知っていて
それを感じていて追求せんのは
まぁ仕方ないと
夫婦関係が破綻しているところがあるから
旦那がそういう相手を持つのも
まぁあるよなと
達観していたんかもしれん
というより
嫉妬を感じるような強い愛情を
もう旦那には持っていなかったからかもしれん・・
〇〇
新しい支所に異動になってから
あいつとは時々話をしている
職場のみんなも
私とあいつが同期やってことは知っとるから
「ご同期で、仲がいいですね」
そんな感じで見とるようやった
私がいる部署は広報
あいつがいる部署は営業
連携して仕事をする機会も多い
私は係長
あいつは部長
何かと話す機会も多い
近くで話していると
ふっと
懐かしいあいつの話し方
懐かしいあいつのはにかむような笑い方
そして
懐かしいあいつの匂い・・
そんなんが
私の記憶をくすぐって
共にデートやベットで過ごした日々に
私の身体や記憶に刷り込まれたものが
私の女としての身体を
レスで枯れかけた私の女の心を
刺激して疼くような感じを与えるんや・・
〇〇
あるイベントで広報と営業が一緒に仕事をした日
あいつから
「この後、食事しないか?」
と誘われた
どきっとした
まるで、最初に同期同志の仲間で飲んでいた関係から
初めて二人きりで食事しようと
誘われた日のことのようやったから
「うん、ええよ」
家族には仕事で遅くなるからと
大きなイベントやから打ち上げもあるからと
朝出かける前におかずは作ってあって
ごはんやみそ汁とかは
高校生の娘がちゃんと出来るようになっとった
私はちょっとドキドキした
いや、ちょっとどころやないかな
かなりドキドキした
最近
こんな風にあいつに食事に誘われて
その後、昔のようにラブホに行って
昔のように愛撫されるん
そんな妄想を考えながら
オナするんが癖になってきとったから・・
あいつが誘ったのは
ちょっと料理が凝ってる感じの居酒屋
落ち着いた感じで半個室のその場所は
わたしらの年相応の落ち着いた感じが
若い時のやっすい居酒屋とは違って
二人の時代の移り変わりを感じさせとった
「こんな店に二人で来るなんて
私らも大人になったなぁ」
二人きりで食事をするなんて
付き合っていた以来やったから
ドキドキしとるのを誤魔化すように
私は軽口のように話したんやった
「そうだよな」
あいつは少し笑った
あぁ、ええ笑顔やな
それに、若い時には無かった
大人の男の味というか
渋みもあるわ
私は少しドキリとした
生ビールが来て乾杯をした
「君の瞳に乾杯!」
「相変わらずやなぁ。
そのハンフリー・ボガードの台詞で乾杯すんの」
私はそう言ってビールを喉の奥に流し込む
あいつはカサブランカが大好きで
いや
私も好きやったかな
二人で食事して乾杯する時は
いっつもその台詞を言いながら
私の瞳をじっと見つめながら
ビールグラスを少し掲げるようにして
言うんがあいつの癖やった
久し振りにその言葉を聞いて
あいつの瞳が私の瞳をじっと見て
そしてその台詞を聴くと
懐かしくて懐かしくて
そして嬉しくて
ちょっと涙が出るやん
いや、ちょっと私の女の部分が
久し振りに悦びを感じて
じゅんってなるやん・・
料理が来てそれを食べながら
仕事の話や同期の話
そんなんを
差しさわりがない話を続けていた
少し会話が途切れた時
あいつは考えるように間を置いて
「なぁ、旦那とのこと上手くいってるのか?」
そんなこと突然言うから
あたし
泪が止まらんようになったやん・・
〇〇
私は泣きながら自分のこと話した
今の私と旦那のことを
それからあいつが私とケンカしてから
分かれた嫁と関係を持って
彼女が妊娠したのを知ってから
もうあたしとは戻れなくなってしまったと
でも
あの時
けんかした後
どうして俺からお前に謝らなかったのかと
どうして俺からごめんと言わなかったのかと
ずっと
俺は後悔している気がすると
そんなこと言われたら
一度収まってきた涙が
また止まらんようになるやん・・
私の涙が少し落ち着いて
あいつは私の目を見ながら言ったんや
「なぁ、俺たち、やり直さないか」
「お前と、お前に娘さんと一緒に暮らさないか」
そう言われたんやった・・
〇〇
そう
その後、私は頷いてまだ泪を流しながら頷いたんやった
「でも、少し時間をくれへん?」
「旦那とは、夫婦関係壊れとるって言ってもいろいろあるから
娘のことは当然、彼女の意思も聞かんとあかんし」
「うん、いいよ。俺はいつまでも待つよ」
「その変わり・・」
「その変わり、何なん?」
「今日、お前を抱きたい」
私はビックリした
話の流れで薄々そんな気配はしとった
最近しょっちゅうしとる妄想で
そんな感じであいつに抱かれる妄想もしとった
でもリアルでこう来るか?
やっぱり神様はおるんやなぁ
私は返事の代わりにこっくりと頷いた
自分では分からんけど
あいつにその時の私の様子をからかわれることがあって
「まるで、処女が初めてホテルに行くのをオッケーしたように
恥ずかしそうやった」
そんな感じやったみたいや
〇〇
そして私はあいつにその夜
居酒屋から少し歩いたところにあるホテルで
恋人だった二人が別れて以来やったから
20年ぶりぐらいやったかな
あいつの胸に抱かれた
それが私の
一生記憶に残るセカンドヴァージンを
あいつに奪われた夜やったんや
(Fin)
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