記憶-1／病院？ここ

目が覚めた・・・ここは何処だ？
　　　どうやら病院らしく、ベッドに寝ている
　　　スノーボードをしていて、大怪我をしたらしい
　　　全く記憶がない
　　　自分の名前以外何も分からない
　　　誰なんだ、俺は？
　　　歳は？学生か？結婚しているのか？
　　　戻るのか？
　　　どうすればいい？



記憶-1／病院？ここ

拓海は病院にいた
意識が戻っても、暫くは分からなかった
何時もの様に、自分の部屋で目を覚ましたのだと思っていた
ベッドから立ち上がろうとする
自然に動く筈の手が・・・
うん、どうした？
動かない
然も感覚がない

そこで初めて右を向く
見慣れない壁
左に首を回すと、これも見慣れないドアと壁
足元に目を向けると、脚が見えた
何か太くて白い
夢を見ている？
頭を振った
脚の手前に、これも太くて白い２本の腕

その時初めて、何時もと違う匂いがして来た
アルコール？
消毒液か何かの匂いか？
どうした？
匂い付きの夢は初めてだ、と感心していた
顔を擦ろうといて・・・
やはり手が動かない


周りをもう一度見渡す
ここはひょっとして・・・病院、か？
何で俺が病院に？
訳が全く分からない
この手、怪我をした？
うん、脚も？
交通事故に逢った？
そんな記憶は無い
腹が減った
何か食べたい


脚の向こうのドアが開いた
「麻生さん、気が付きました？」
訳がさっぱり分からない
「あのー、オレいや私、どうしたのですか？」
「スノーボードをしていて、崖から落ちたんです」
「私が？」
「そう」
「ほー、私が怪我？」
「はい」
「頭も打撲したので、思い出せない？」
「はあ」
「すぐに記憶は戻りますよ」
「脳波もスキャンも問題有りません」
「口を開けて、体温を測ります」

口を開けると同時に、股間がおかしいのに気付いた
口とアレの筋肉は繋がっている？
嘘だろう、あれも怪我した
無くなってしまった？