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国産レアアースは可能か!??

2026年03月02日 15:05

国産レアアースは可能か!??

昨日のログの続きです。
 今や経済の心臓部を握るレアアースを中国依存していては、経済安全保障が保てないと、高市政権国産レアアースの獲得を掲げています。
 そこで注目をされているのが、南鳥島レアアースです。メディアでは「世界初」「日本の技術力」「資源大国への道」「希望」のワードで持ち上げています。

 しかし、実は、南鳥島レアアース計画は2013年に検討され、技術的課題、環境破壊国防上の脆弱性、製錬の不可能性、国際規制の流れを踏まえ、「無理」という結論が出されたものなのです。
 過大に期待を煽る言説が、脱中国、対中国強硬路線と軌を一にしている風潮には危ういものを感じます。「現実はこれ」を正しく知ることが大切だと思います。

1.そもそも採掘地点が最悪の立地

 レアアース泥があるのは南鳥島ではありません。南鳥島からさらに270km南方、日本本土から片道2,000km以上離れた海域の6,000mの深海です。
 採掘、輸送、補給、警戒のすべてが、往復4,000kmの海上ルート依存しているのです。
 泥を運ぶタンカー、燃料を運ぶ補給船、作業員交代船、ポンプ船、洋上プラント船、警戒船、これらが常にピストン輸送を続けなければならないのです。
 当然、燃料は重油頼みで、CO2排出は石油採掘以上になります。「脱炭素のためにあるレアアース」が脱炭素を徹底的に無視し、破壊することになる矛盾を抱えることになってしまうのです。

2.天候だけで破綻する

 南鳥島周辺は太平洋の真ん中で、台風、高波、長期の荒天が頻発する海域です。深海採掘は「止めたら終わり」の事業であり、止まることが前提の海域という時点で破綻してしまうのです。
 ポンプ船は水深6,000mの揚泥管が揺れれば破断の危険性があり、洋上プラントは荒天で自壊するリスクがつきまといます。燃料を安定輸送するのは困難で補給が滞ればすべてが崩壊し、洋上での修理は不可能と、あまりにも悪条件が揃いすぎています。

3.国防的にも維持は不可能

 この計画をフル稼働させるということは、中国との国交断絶が前提にされています。しかし、2,000km離れた海域を守ることは、補給ルートが維持できないこと、海賊的なゲリラ攻撃を防げないなど、ほぼ不可能です。戦時どころか平時でさら守れないというのは国家戦略として論理が既に破綻しています。

4.製錬は日本では絶対に不可能

 レアアースには、強酸、強アルカリを何百回もかける化学処理が必要で、1トンのレアアースに対して、2,000トンの猛毒廃棄物が発生します。
 中国レアアースを独占できているのは、猛毒廃棄物を垂れ流せる広大な土地があり、自然保護や環境規制、土壌汚染を無視でき、地元住民の反対活動を抑え込み、健康被害人権を無視した労働環境強要する独裁体制があるからです。
 国土が狭く、環境規制が厳しい日本ではレアアースの製錬は絶対にできません。

5.深海採掘は不可逆の環境破壊行為

 レアアース泥は水分が90%以上で、洋上での分離工程で泥と海水が大量放出されますが、深海6,000mの泥を曝すと次のような反応が起こります。
 硫化物、還元鉄、マンガン酸化により一部が溶出し、深海微生物が海面に上げられ死滅、表層の植物プランクトンが減少、魚類に粒子が付着し呼吸障害を起こします。また、食物連鎖が崩壊する、放射性物質が年月とともに高濃度化するなどの影響が避けられません。
 これらは技術力でどうにかなる問題ではなく、近隣は死の海となってしまいます。深海での鉱物採掘が国際的に凍結、禁止の方向にあるのは、この環境リスクがあまりに大きいからです。

6.「商業化」の議論自体成立しない

 現在、世界37ヵ国以上が「深海採掘で得た鉱物資源は使用しない」という国際声明に賛同しています。
 これによって、有名IT企業は深海由来資源の不使用を表明しています。これは、環境破壊資源を使えば企業価値が毀損するからです。ゆえに、「何年後に商業化できるようになるか?」という議論は無意味です。市場が拒否する資源商業化はあり得ません。
 売れない資源を採掘するために、数十兆円規模の国家予算を投じることは狂気じみています。

7.日本の意思決定システムが壊れている

 六ヶ所村再処理工場は「4年で完成予定」のはずが、30年かけて完成しておらず、国家予算17兆円の浪費です。
 福島原発事故は15年経った今もデブリ耳かき一杯分しか取れておらず、賠償金含め20兆円超を投じても進展はほぼゼロにもかかわらず、原発を再稼働しようとしています。
 共通点は「不可能だと分かっていても止められない」です。南鳥島レアアース計画も同じ構造です。希望精神論で突っ走り、現実から目を逸らし続けています。

8.結論として

 南鳥島レアアース計画は、技術的に成立せず、環境的に許されず、国防的に維持されず、商業的に売れず、製錬が不可能で国際的に認められない「国家的規模の幻想」でしかありません。
 レアアースを中国に握られているのは、日本だけでなく世界共通の問題です。そして、領海が日本より大きい国などいくらでもあるのに、どの国も海底レアアースの調査すらしていません。ここに答えは出ています。
 必要なのは、現実を直視して撤退を判断できる国民の意思決定能力と言えるでしょう。

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