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Shinode

2007年06月06日 06:30

日本人は米を食う、米はライスである。 

しかし、コメを食うのではない。 飯を食うのでありコメを食うには硬い歯と強い胃が必要になる。 レストランでコメを下さい、といえば困った顔をされるし、実際、日本語を知ったかぶりに使うオランダ人が日本でそういって失敗したことも聞かされているから日本語を少し話す外国人の生半可な知識を笑う材料にはなるのだが、それはあくまで日本語だけの世界だ。パンですかライスですかと聞かれライスですと答えればライスは皿に入れられた飯であり、和定食についてくるのはライスではない。 飯である。 今の若者ならそれもライスというようなものもいるかもしれないがそういうのは論外である。  論外が普通になる日も近いようにも感じられるがそれはまた別の話。

オランダ人の一般家庭でもRijst(ライスト、米)は普通に食卓に上がる。 けれど、それは旧植民地インドネシア風の炊き方で、大まかに水を張った鍋を沸騰させてそれに細長いインドネシア、もしくは南米スリナム渡来の米を洗わずそのまま放り込みある程度炊き上がったら水を捨てて出来上がりというはなはだパサパサの、戦後すぐによく聞いた外米であり、インドネシア風、スペイン南米スリナム風の料理と共に食される。 中華料理にも供されるがオランダでは中国料理インドネシア経由であるから白米にしても少しは粘度がつくものの基本はほとんどこのインドネシア風とおなじである。ただこれらの米にしてもちゃんと洗い少し多めの水で炊けば匂いは取れるから焼き飯の材料ぐらいにはなる。

オランダ風に雑食の我が家では食材としての米をわざわざ大都市の日本食材店まで足を運ばずとも町にある中国食料店にいけばさまざまな米の中に日本米もいくつかあるから日常はそれを求める。  日本米といっても日本からの渡来物ではない。  もとの種米は日本からのものであるのだが栽培されて収穫、出荷されたのはカリフォルニアイタリア。 どちらも米の栽培に適したところだと聞くし、特にイタリア北部のロンバルジア平野には古くからイタリアおじやリゾット、が米料理であるのだからそのリゾット用米の生産地である平野で日本米を栽培して日本米として輸出しているのだという。

我が家では長年カリフォルニアの「錦、ニシキ」という米を炊飯器で炊いて食していたから我が家の子供たちには一週間に二度は口にする日本の米はほぼ常食となっているから日本流の飯がどのようなものであるかは一応わきまえている。 同時に中国風、インドネシア風、リゾット、それに時には南米ワイルドライスも食卓に上るからそれぞれの料理に添ってさまざまな米の味を受け入れているようだ。 私には日本の米は血肉を築く漆喰であるのだが妻子には食材の一種でしかないようだが妻子たちにしても日本の米には他の米より親密感があるようで茶碗に飯だけをよそって喰うこともあるようだ。

ここ何年かは町の中国食料品店に積み上げられた、どうみても日本から来たとは思えない奇妙デザインの袋に入った「日の出」という銘柄のイタリア産米を使っている。 透明なビニールの袋に10kg詰められたものであるのだが、町人か侍か中途半端な格好のちょん髷を結って刀をさした男が日本家屋風の建物をバックに描かれているものだ。 ふるっているのは「日の出」の下に称賛日本米と中国風にワープロ標準フォントで書かれ、その下にアルファベットで「Shinode」と出ていることだ。 シノデである。 イタリアメーカー日本人にこの漢字をなんと読むのか聞いたのだろう。 それでこの男、江戸っ子だったのかもしれねえ、 なんでえ、これしきの字が読めねえのかい、べらぼうめえ、シノデじゃねえかい、といったのだろう。 シノデである。 べらんぼうめえ。 大阪人の私には、なんや辛気臭さ、といった気分であるのだが味はちゃんと日本のものである。

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