書籍:心に火をつける創業者 100人の言葉

■心に火をつける創業者 100人の言葉
■市川 覚峯（著）

大企業も赤ん坊の時があった。
生み出した創業者がいる。
創業者の苦労は並大抵のものではない。
その創業者100人の語る言葉、言葉の裏には人生の大きなヒントが潜んでいる。
何度も繰り返し読み、自分の血肉にしていきたいものですね。
それでは特に参考になった話を紹介していきます。


●企業を森林とみるならば、社員は1本1本の樹木である。
各々の樹木が自らの力で生きていこうと努力すれば、森林全体が生気に満ちあふれて隆盛を迎える
（YKK創業者吉田忠雄）
吉田は、カーネギー伝が好きで「他人の利益をはからなかったら自らは栄えない」という言葉に感動する。
経営者になってかららこの言葉を大切にして、”善の循環”を訴え続けた。
吉田は企業と社員の関係を、”森林関係”と打ち出した。
社員一人一人がおさえつけられて、管理・コントロールされていたのでは組織は硬直化してしまう。
社員個々が自律性を持ち自己管理することで、組織は柔軟な動きが生まれ生産性が向上し、組織活動が活発化してくるという。
個々のモチベーションをいかに上げていくかがポイントなのである。
やらされ感がある組織では、自発性がないので、アイデアも出てこない。
ロボットのような動きで、怒られない程度に最低限やっておけばいいやという官僚的な組織になってしまうのである。

●「相互関係を貫く」
人間が人間を使うことは根本的にはできない。
相互信頼における協力関係があるだけである。
(ワコール創業者塚本幸一）
私自身も本に書いていますが、上司と部下の関係は上下関係ではないのです。
上司と部下は対等なパートナーなのです。
だからこそ、機能するのです。
非常に共感が持てる言葉です。

●人間は踊る舞台を与えれば踊る
(長崎屋創業者 岩田孝八）
岩田は「浅く関わる」こそが自分の成功の秘訣だという。
岩田は社員の”舞台上の姿”だけを見て、楽屋はのぞかない主義だった。
岩田はその人間にとって最も踊りやすい「舞台」を常に考えていたのである。
自分の持ち前と人柄を最大に活かせる舞台で、常に新しい舞を踊っている人をわれわれも多くつくりたいものである。
大切なのは舞台に登らせたら、その間は変に支配したりしないことである。
自分で行動させるのだ。
What(何を）は指示するが、How（どのように）までは指示しないことである。
howの部分に口を出すと、部下は、上司の顔色ばかり伺い能動的に動かなくなってしまう。

●絶えずひとつ上の立場で考えなさい
（山之内製薬創業者 山内健二）
「係長であれば係長としての考え方や判断ではなくて、自分は課長であると思い『もし課長だったらどうするのか」というように常にひとつ上の立場で考え、判断し、行動するようにしなさい。これが日頃の上長の判断を理解し、相手の立場を考えた広い視野をもつことにもなり、ひいては自分の能力を高めるひとつの方法にもなる」ということである。

●”坂の上の雲”を目指して坂道を上る段階では大きな危険は少ない。
しかし山頂に近づくと予期しない困難が増してくる
（NEC中興の祖小林宏治）
企業は安定してきて皆が安心してしまうと、長い眼でみると不安定になってしまう。
少しぐらい不安定のほうが社員も危機感を持って、緊張して取り組むから長期的に見ると安定するのである。
この言葉にもあるように頂上に向かって登っているときは、ひたすら進んでいける。
しかし、頂上が近づき、もう安心だと思ったときが危ない。
安定は不安定を呼ぶのである。