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ネットの響く話…[野球、ご免ね]
2012年10月26日 22:24
幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに俺を育ててくれた。
学もなく技術もなかった母は、個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。
それでも当時住んでいた土地はまだ人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていけた。
娯楽をする余裕なんてなく、日曜日は母の手作りの弁当を持って近所の河原とかに遊びに行っていた。
給料を貰った次の日曜日にはクリームパンとコーラを買ってくれた。
ある日、母が勤め先からプロ野球のチケットを2枚貰ってきた。
俺は生まれて初めてのプロ野球観戦に興奮し、母はいつもより少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。
野球場に着き、チケットを見せて入ろうとすると係員に止められた。
母が貰ったのは招待券ではなく優待券だった。
チケット売り場で一人1000円ずつ払ってチケットを買わなければいけないと言われ、帰りの電車賃位しか持っていなかった俺達は外のベンチで弁当を食べて帰った。
電車の中で無言の母に[楽しかったよ]と言ったら、母は[母ちゃん、バカでご免ね]と言って涙を少しこぼした。
俺は母に辛い思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって一生懸命に勉強した。
新聞奨学生として大学まで進み、いっぱしの社会人になった。
結婚もして母に孫を見せてやることもできた。
そんな母が去年の暮れに亡くなった。
死ぬ前に一度だけ目を覚まし、思い出したように[野球、ご免]と言った。
俺は[楽しかったよ]と言おうとしたが、最後まで声にならなかった。
心に響きます。その想いはしっかり子供に届いてるね♪
このデジログへのコメント
親とはそういうものだよ。
母も高校の卒業式に来なかったのをまだ謝ってる。自分は何とも思ってないのに。
hiro69さん:そうなんですね素敵な親御さんなんだろうな
ちっぱーさん:そうだね。凄く優しいお母さんだったんだろうな
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