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迷い猫

2007年05月04日 08:16

迷い猫

日当たりのいい午後、娘が庭のテーブルで日向ぼっこがてら試験勉強をしており、台所のラジオからはハードロック電卓にかがみこんで微積分の問題を解いている水着姿の娘の方に流れていた。

いつもの木曜日の買い物でスーパーから飲み物、食料、猫のトイレ用の砂、など40kg近くどっさり満載したブラスチックの買い物ボックスえっちらおっちら車から運びいれて、先ず冷蔵庫ミルクアイスクリーム冷凍食物に生鮮食料品を入れなければとドシンと床に置いたとき目の前を見慣れぬふわふわした白地に薄茶色の縞もようの猫が急ぐ様子もなくドアから出て行くのが見えた。

あれ、この前引っ越してきた隣のゲイカップルが飼っている2匹の猫のうち若い方がまたうちのおばさん猫の餌入れから何か喰って出たところなのかなとその後について庭に出た。 別段私を怖がる風もなくあちこちながめながら後姿をみせるのに軽い口笛を吹いてこちらに注意を向けようとしたのだがやっこさん、それを無視してゆっくり隣の垣根の方に消えていった。

ふと、買い物の事を思い出し、ものが溶けないうちにと買った物ををそれぞれ冷蔵庫と物置に収めて庭でそのあとビールを飲みながら娘にあの猫の事を話しているとあれは隣の猫じゃないと言う。 このあたりにはどのうちにも猫がいるから今の時期、開け放した近所をいろいろな猫が行きかうのだが冬の間は皆が大抵庭に出ることがないので目に付かないが今の時期はそれが眼に入る。 陽気がよくなれば人間も動物も庭に出る。 人間の方はそれぞれ自分の領分にいるのだが、動物にはそれがない。 しかし、動物にも大抵、どこでも自分の領分があり入ってくるものには自分のテリトリー主張してにらみ合ったりそのうち慣れて一定の距離をおいて寛容の態度をみせたりと猫同士で勢力図ができてくるようだ。 よその庭に入るときはそれぞれ様子をうかがうようにこそこそと横切っていくものが多いのだが今日の来訪者はまだあまりこのあたりには慣れていないようでびくびくする様子も見られなかった。

若いペルシャ系の猫のように見えたのだが首に赤い輪を巻いており小さな金属製のロケットがついていたがそこには多分そのうちの電話番号が書かれた小片が入っているのだろう。

夕食後、角の郵便ポストに投函するものがあったからそこまで歩いていくと赤いポストには白黒写真ペルシャ猫の写真と書いたものがビニールの袋にいれられて貼られており、時々あちこちで見られる、失踪した猫の行方の捜索に協力を乞う張り紙だった。 クリーム地に薄茶色の毛、 ペルシャ猫、老猫、一報を乞う、とそこに電話番号を添えてある。 電話番号だけではどのあたりの住人か分からないし記憶では老猫とは見えずむしろまだ若いと見えたのだけれど毛並みが書かれている通りなので早速デジタルカメラにこの張り紙を収めて家からこの電話番号に連絡を入れた。

声からは老いた男と思われたが話してみるとどうも私の見たものとは違うようだ。 決定的だったのは赤い首輪だった。 失踪したのは3日ほど前でもともと首には何も付けていない、ということだった。 念のためにどのあたりの住人かと言うことを訊ねると家からは2ブロックほど離れたあたりで孫たちに頼んでかなりの張り紙を目に付くあたりに貼り付けたのだという。 何人かからは情報が集まったのだがまだ行方はしれず隣人がかけたと思われる赤い首輪の猫の情報も既にいくつか届いていたそうだ。

私はその猫が無事に戻ることをその老人に願う旨伝えると丁寧に礼を返しそこで電話を終えた。 さて、そうすると赤い首輪の猫はどこのものだろうか。 それにその失踪した猫は戻るのだろうか。 郵便ポストから捜索願いの紙が剥がされることでその結果が分かるだろうが何ヶ月かそのままで自然と剥がれ落ちるときは行方知れずになったときなのだろう。

昼間、ポストに貼られた失踪願いをデジタルカメラに収めてうちに戻る途中では我が家おばさん猫は三軒ほど離れたうちの前庭で草花のあいだを能天気にのんびりと嗅ぎまわっていた。

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