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Dead man デッドマン ;見た映画 May 0
2007年05月16日 06:40
デッドマン
 (1995)
DEAD MAN
上映時間 121分
監督:ジム・ジャームッシュ
脚本:ジム・ジャームッシュ
撮影:ロビー・ミューラー
音楽:ニール・ヤング
出演:ジョニー・デップ
ロバート・ミッチャム
ミリー・アヴィタル
ゲイリー・ファーマー
ランス・ヘンリクセン
マイケル・ウィンコット
ユージン・バード
ジョン・ハート
ガブリエル・バーン
アルフレッド・モリナ
クリスピン・グローヴァー
イギー・ポップ
ジム・ジャームッシュ書き下ろし脚本による、モノクロのウェスタン。1870年頃、アメリカ西部に東部クリーグラントから来た会計士ウィリアム・ブレイクは、ディッキンソンが支配する町マシーンで花売りの娘のセルの難儀を助け、彼女の部屋に誘われた。そこへ、突如ディッキンソンの息子でセルの許嫁だったチャーリーが現れる。2人を見てチャーリーの銃が火を吹いた。銃弾はブレイクをかばおうとしたセルの胸を貫き、ブレイクの心臓の脇にのめりこんだ。お返しに撃った1発がチャーリーの喉に命中する。ブレイクは胸をおさえて窓から逃げ出したが、息子を殺されたディッキンソンは、3人の殺し屋を雇って彼を追わせるが……。ジャームッシュがアメリカの原像とも言える、19世紀後半のアメリカ西部、ウェスタンの世界を、コミカルに、残酷に、雄大に描いた長編叙事詩。と「映画データーベース」に出ている。
この映画を見よう、いやDVDを買おうと思ったのはこの間テレビで見た「スリーピー・ホロウ(1999年)」のジョニー・デップがらみともう10年ほど前にドイツのテレビ局で見た3分ばかりのシーンが印象的だからでそのときにはデップの名前を覚えていたのは私の贔屓のフランスのカワイコちゃんポップスターを取られたこと、その恨みからで、しかし、そのときのセピア色の美しい色調、西部劇には珍しいカナダ太平洋側のネイティブ・アメリカンの民俗学博物館でみるような村が写されていたからでもあった。
西部劇ファンだから最近ではスピルバーグ・チームの若手監督がオムニバス形式でネイティブ・アメリカンと東部から西部に流れる何家族かの三代にわたるドラマを平行、交差させ綴った「Into The West(2005年)」を見たのだけれどこれはブッシュ政権の国威発揚策に貢献するべくアメリカ白人の西部開拓時代からの歴史を合理化させる意図もあるのかとも勘ぐらせるような部分もありまた映像的にも若手監督数名の寄せ集めであったから一貫性に欠けるところでギクシャクしているようでもあった。
これはセピアトーンの美しさを久々に再確認する映画だ。 上記スピルバーグものと対照して観るとおもしろいだろう。 我々の眼が色に翻弄され現実的に撮ろうとデジタルカラー撮影されたものがうそ臭く、逆に暗く猥雑な白黒映画に美しい色が見えるのは久しぶりに見るジム・ジャームッシュの力である。 ほぼ初めから20年ほど前の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」の画面を思わせるそれぞれの人物が生き生きと生々しく撮られているのに喜んだ。 ジャーミッシュの癖とも言うべきものが色濃く出ているだろう。
西部劇のステレオタイプがあり台詞の面白さに噴出すことも一度や二度ではなかったし小道具や細部まで楽しめるものだった。 だからこれを私が所属する、当時の住まいを想いいろいろな古式銃を扱う射撃クラブで仲間ともう一度観てみようと思わせるほどだ。 人は銃器で簡単に死ぬものでもある一方簡単には死なないのも見せるリアルなものでありもし自分がこういう世界にいても納得できる映画だから虚構の中に現実を見せる作品といってもいいだろう。
それにジャーミッシュの作品では音楽が特色のようにここでは私の贔屓のカナダ先住民の血をひくニール・ヤングがギター一本で適宜さまざまな音を奏で、時には鬼才デイヴィッド・リンチの映画に出てくるような効果も出していることだ。 ヤングの想いいれも貢献しているのではないか。 音楽がらみで言えばイギー・ポップも奇妙でもあるが納得の行く、味のある役割りをはたしている。
Nobodyとよばれる数奇な運命を持つ単独行の先住民を配したところが秀逸である。 ゲイリー・ファーマーの先住民には見えない風貌もその数奇な生い立ちを知ると納得するところとなり、おかしくも禅問答のような対話がデップと交わされイギリス詩人William Blake (1757 – 1827)と同名であるということでデップとNobodyの時には頓珍漢でもあり詩的な対話に和むものでもある。
脇役がいい。 ジョン・ハートにはじまりロバート・ミッチャムの味のある振興企業家のボス、雇われ殺し屋の3人でとりわけランス・ヘンリクセンをニタニタしながら観ていた。
本編のほかにDVDには編集過程で除かれた部分が納められており、そのいちいちのシーンに感心したのだが夜、キャンプの火に顔を照らし出された殺し屋二人の対話とその間に見える照準器つきのシャープ・ライフル、まるで北欧の森かとも思わせる茫洋とした北米の森を馬でデップを追う雇われ殺し屋二人のうちスコットランドに先祖を持つといい荒くれ男ながらぬいぐるみの熊を話さない、どうでもいい無駄話を始終喋り続ける男を歯痛に悩むランス・ヘンリクセンが撃ち殺すシーンなどは納得がいき思わず笑いがこぼれたものだ。 笑い事ではない世界である。
このデジログへのコメント
私もジム・ジャームッシュ大好きです♪
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