スウィート　シックスティーン

大体、異性体験の平均年齢は徐々に下がり、といっても４００年以上前は今では考えられないほど低かったということもあるのだが、それは当時の平均寿命が今の半分ぐらいだったのだから比べる方が無理だというものの兎に角、今はオランダでは女性は１６歳ごろ、男性はもう少し遅く１８歳ごろに平均的には異性体験をすると言われているようで、けれど、もう少し早いと言う声もあり、また、小学校での性教育を見直すべきだとも一方で保守層から声が上がっている。　

日本でもそう遠くない昔、「赤とんぼ」の歌詞のなかに、十五で姉やは嫁に行き、、、、というのがあるくらいでここには当時の、嫁に行く、ということが必ずしも自由意志の性体験というより家と家どうしの契約、とりきめというような側面もあったものの性体験とドライに言えばここでは十五だったのだし、この歌からは時代は１００年も経っていない。　

性教育の見直し、という声には、それでは性教育が今までなかったのかといえばオランダは早くから北欧型の教育圏にあり１９６０年代から既に世界に先駆けて行われているのは皆承知であるのだし、見直し、という意味はこの１０年ほどメディア、特に青少年が好んで観るＭＴＶ，ポップ音楽専門局などの内容があまりにも露出度が激しく扇情的で、また、その中で女性を性的対象のみとみるような、性差別につながるような映像が示されたりするということも言われていて今風の若者文化に合った性教育をということであるようだ。　もし若者ポップ文化の中で女性がしばしばそのように写っているのなら男女同権、人種、性差別の駆除を是としてきた国の政策に逆行することでもありそのよってきたるところは如何様であるのか興味のあるところだ。

かつて昔、プレスリーがロカビリーで登場したときにその歌うしぐさが扇情的だといわれ規制を受けたこととも今風にもここでいうことと共通しないとはいえなくもないものの両者を比べて見ればその差に隔世の感を覚える事は確かだ。

オランダでは１６歳から合法的にアルコール飲料、煙草を買うことが出来る。　もちろん消費することが前提である。　社会から喫煙の習慣を駆除する事にはかなり成功していて公共の場所、飲食店は一般的には禁煙である。　アルコールに関しては最近のレポートでは１２、１３歳に急性アルコール中毒症の子供達が増えた、と報道されている。　小学校６年生、中学校１年生あたりである。　初めて大人の真似事のいろいろなパーティーを経験する年頃であり、政府はこの合法枠の１６歳を１８歳に引き上げる案を検討中だということも聞いた。

３年ほど前に息子がこの年齢を向かえ徐々に慣れて今では一週間にビールの小瓶を３，４本という普通の青年の消費量であるようだ。　それまでには何回か酔いつぶれて親に介抱されるというようなこともあったが今では幸いなことにそのような事はない。　何人かガールフレンドがいたようだがその年齢に応じてステディーというような女性がいたが頭に血が昇っているときは男友達には眼もくれず、という時期もあったものの今は両方に満遍なく気を配れれるようになっている、というのが家人の意見である。　先日、私が昼過ぎて起きだしシャワーを浴びてビール腹にバスタオルを巻いて息子の部屋に入ればベッドで若い二人がごそごそと事の様子で、そこではノックをしなかった私の無作法を詫びてそうそうに退散したのだが私を見る二人のまなざしには大人の余裕すら充分あってこの件に関してはもう我々、親の出る幕はない、との感を持った。

うちの子供たちは早くから食事、社交、晩餐の折に消費されるアルコールは口をつけて味見、と大人たちに勧められるアルコールの経験はあるもののそれは日常ではない。　去年の夏のヴァカンスの折には娘は食事の折には家人と同伴で家人に勧められるまま白ワインやシャンペンを味わうようになっていたし、日本では熱燗を寿司と一緒に試してもいた。　息子は私と一緒にチェコでも日本でもビールを楽しんでいてコレよりアレの方がうまい、ともいうようになっている。

その娘が１６歳の誕生日を迎え合法的に自分でアルコールを買えるようになった。　そこで家人からベルギーの白ビールをプレゼントにもらっていた。　もちろん他にも色々、家族、友人達からプレゼントをもらうのだがこれらのビールが人形や小物に混じるのに妙な感じがする。息子にしても娘にしても自分の小遣いは使い道がいろいろあるようでアルコールは自分では買わないようだ。　

娘の男友達については時々うちに出入りする学校やホッケークラブのグループ男女の中でまだ決まった男友達はないようだ、というのが家人の観察である。　私には疎いことであるのでそういう情報は家人からの二次情報でしか入ってこない。　スウィート　シックスティーンらしい。