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花とアリス; 見た映画 Feb.07 (3)

2007年02月15日 12:27

花とアリス

プロデューサー:岩井俊二
監督 :岩井俊二
脚本 :岩井俊二
撮影監督 :篠田昇
撮影 : 角田真一
音楽 :岩井俊二
美術監督 :種田
 
配役
   
荒井花 :鈴木杏
有栖川徹子 :蒼井優
宮本雅志 :郭智博
有栖川加代 :相田翔子
アリスの母の連れの男 :阿部寛
アリスの父 :平泉成
堤ユキ :木村多江
編集者現場担当 :広末涼子
リョウ・タグチ :大沢たかお


少々居心地が悪い。 アリスの父が娘とデートをする場面があり、この父親は私でありえるところでこの映画を見るのには自分は不適格であるとの確信をもった。 娘にそれまでの不在と訳ありの家族関係を取り戻すかのように色彩の操作された茶屋で弁当をたしなみ少々遅い高校合格への万年筆プレゼントをするところで不自然に饒舌となり、その後、娘の嗜好が父の不在の間にそれまで食べられなかったところてんを追加注文され甘いものを二つ無造作に平らげる若さ肉体的健啖ぶりをみることとなりその父親にも違和感を抱き、観客の私は居心地が悪かった。 つまり私の視線はそのようであるから その後の「、、、、だったりしてえ、、」と数回繰り返す父親のおもねり、、、メールやりはじめたんだあ、、イヤラシイ、、と残酷なまでに底をみぬかれて言い放たれすごすごとは引き下がるものの、若さに惹かれて引っ掛けられてボケーっとした、いや、ボケーッとしているから引っ掛けられた宮本マークを不甲斐なさげに眺めるのだ。 

少女の言葉のなかには、科白なのだが、あまりにも隠喩、言葉で仕組まれた森の構築物に人工を見、これも人工の主役の二人が演じる自然の残酷さに「癒され」そうにもなる。 中学から高校に入る娘のストーカーとそれに乗っかる仲良しの何処でもありそうな世界であり、ここでは男は腑抜けた扱いやすいおもちゃである。 ひょっとして製作者はこのような男の世界をみたのだろうか。 無骨で不毛、屈折した高校生活を送ったものには過剰な異性の世界が花屋敷の色彩となって人工のクシャミガ出そうになる。

先日、日本に帰省した折、平日の午後、紀州新宮駅から勝浦まで各駅停車の電車に乗った。 2両か3両編成のワンマンカーも珍しかったのだが地元の高校生達が2,3人づつかたまってがらんとした車両に散らばっているのだが、とてもこの映画のこぎれいな娘たちには見えなかった。 どこかに粉をふいたかに見えるような服は午後の光のせいだけではなく自分の40年以上昔のセピア調をもかさねていたからそのように見えたのだ。

まだ若いように見える監督の、プロデュース、脚本から音楽まで、つまり一人で世界を作り上げたこの映画は、作中若いタレント応募者たちを選別する呆けた審査員自己投影しているのだと見えるのだったら穿った見方をすれば2003年ごろの時代におされ気味だと解釈できてしっかりしろといいそうになる。 

鑑賞中に何回か久しぶりに頭をよぎる過去の映像は羽仁進の「初恋地獄変」だったり、北野武キッズリターン」、はたまた行定勲「GO]であり原田眞人バウンス ko GALS」だったりするのだ。それにオーディション場面では三池祟史「オーディション」が参照されるのだがオモチャ箱をひっくり返したような比較でいうとひっくり返されていても本作は美しく見えるように整っていて目に付くのだ。 そういう意味では他作は自然にひっくり返っているようにひっくり返されている。

どうしても小物に目が行ってしまう。 盗撮するときのライカ写しのデジカメ、池の端でのダイハツミゼットしかけの氷り屋に夏の昼の境内の露店に浴衣の娘とくればとてもおじさんには近寄れないし、学園祭準備中の教室の窓のそとにぱっちり眼をむいてこっちを眺めているアドバルーン鉄腕アトムなりアリス起死回生ともいうべき自然に振舞うバレースローモーションではこの映画と舞台裏の仕組みが入れ子の重箱に見えるのだし、学生祭の落語のトリを待つ舞台の袖のクライマックスでは予定調和の五目飯がみえ、まさにアリスの段々よく鳴る法華の太鼓、お握りサンドを腹に入れた心地で、これが20年前なら消化されたものが今はかなり腹にもたれる。

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