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Greg Osby Chanel Three; 25-02-07

2007年02月26日 13:12

Greg Osby Chanel Three; 25-02-07

Greg Osby Channel Three   25-02-07  BIMhuis in A'dam

G. O. (as)
Matt Brewer (b)
Tommy Crane (ds)


夕食後霧雨の中、駅に向かう時から今夜の音楽は緊張を伴うものだからジャズはやめて耳の中で鳴らせるものは歌曲にした。 Burt Bachrach & Hal David, the songbook collection (EMI 7243 5 77320 2 4) 40分ほどのゆったりとした電車の中ではコーヒーを飲みながら今夜のプログラムに書かれたG.O.の近況について読むのにはちょうどいいBGMだった。


このアルトのことは6,7年前にオランダジャズ誌で主にフリージャズ批評をしている知人から知らされて Further Ado (Blue Note 7243 8 56543 2 9)から聞き始めた。 その後何枚か手に入れその中にはMarc Copland との Night Call(Nagel Heyer 2048)も含まれているのだがどこかで釈然としないところもあった。 Further Adoではバップユーモアをも交えたものだったがその後のものもいくつか聞いて模索中との感を持った。

昨年5月19日、この同じ会場のほぼ同じ席でG.O.の父親とも言うべきとこれは後ほど本人の口からきいたことであるのだが、Andrew Hillの、未だに枯れぬインスピレーション溢れるピアノ演奏を聴き、今日、サキソフォントリオで初めてライブで接した感想は目出度いものだった。 47歳という円熟期に入りこのトリオ自己表現の極限化を勧める力の入ったユニットとの感を得た。

このグループと同名のアルバム Channel Three (Blue Note 72438 60672 2 7)のライナーノートにG.O.自身書いているように、ピアノを含む四重奏団からピアノを抜く試みを始めるにあたって今までのアルバムでの屈託が晴れたような気がしたのだが、このアルバムの一部を聴き、会場で途中20分ほどの休憩をはさみ流れるように緻密かつ繊細、このトリオの相互の交歓を力強くクールに8曲提示したのに接し、出だしの曲から最後まで完全にクールかつホットに制御されたものを目にしたからだった。

この夜はアルバムから自作を何曲かほぼ同じ構成、しかしソロ部分ではそれぞれ十分時間をとり緩急流れるように、時には急にユニット変速し次の局面に駒を進めるような場面もいくつかあり油断のできない展開であった。 O.コールマンのMob Jobではリズム、曲想を追うもののリズム展開はコールマン仕立てでありながら換骨奪胎するべく音を探っているようだ。 けれどアルトには逡巡はいささかもなく訓練に裏打ちされた明瞭で滑らかな音の連続が聴かれたのだった。 コールマンユーモアロリンズ風に入れ子にするようなところもあったようだ。

曲想、展開は独自で繊細でありそれぞれに自分の地平を押し広げる試みがなされているものの、この試みはこの10年ほどの試みに裏打ちされて骨組みができてきたように見えるのはピアノを抜いたということからでもはっきりしているようだ。 ドラムのしっかりしたサポートに乗りアルトだけのソロは少ないもののトリオでは各自が同時に演奏する場合でもソロパートと取れるような仕組みにしてあるようだ。 ベースは既に何年も一緒に活動しているだけあってまことに相性のいい演奏を見せた。 ソロは勿論、G.O.との交歓ではアルトの控えめな介入、挿入、補完が彼らのユニットの確固さをあらわしているかのようだ。

後半ではコルトレーンバンドでのジミー・ギャリソン風にベースがイントロを始める中、スタンダードとなっているキャラバンをやるのかと思いきや変速アラブモードともとれるアルト自己の空間を構築していくうちにそれがMy Heart Belongs Daddyであることが判明し、なおかつイパネマの娘フレーズまで出てくるリラックスした展開になったのだが、ここでは明らかにアーチー・シェップの名演イパネマも頭にあるのかも知れない。

後半はこのように自己の空間、モードの中にコーラージュとしてエリントン、モンクなどの引用が散見されたがアルバムに収められたドルフィーのミス・アンも聴かれなかったしいわゆるドルフィー節の引用もなかったようだ。 このことを尋ねようとしたのだが忘れてしまって聞かずじまいになってしまった。

アンコールはなかったものの既に11時半をまわっており平均年齢が40歳を超えるかと見られる観客たちも十分満足して帰宅する折、控え室に下りてサインを口実に一言二言話を聞こうとするとベースアルト以外は訪問客がだれもいず、私は電車の時間を気にしながら二人に印象を話したのだが、アルトは自分はできないながらベース日本語が少しは話せるを話を振って彼らの日本人との交友を語った。 実際にG.O.にしても日本人とのセッションは多くありかなりの名前が口からこぼれ、自身、大五郎という、子連れ狼息子の名を日本名として持っているのだと説明していた。 しばらくしてマネージメントが書類のサインと彼らのパスポートを集めに来たのでそれを機会に部屋を離れ霧雨のなか帰途に着いた。

内容の濃密なコンサートの後、夜汽車の中では美空ひばり「HIBARI sings Fascination」 Columbia COCA-70364 が心地よく、1時半をまわって帰宅し居間に座ったときには最後の17曲目「Pretend」が丁度終わったのだった。

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