- 名前
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【魔法少女っ】61-3、いい加減明かされろ、アドルフの過去。
2012年02月24日 20:23
2月13日。
放課後。
演劇部部室は静かだった。部室には何やら書き物をしている麻衣子と部室に山積みな台本を読む茜の二人きり。
「そうそう」
麻衣子は簡単な手紙を渡した。
「茜ちゃ~ん。ごめんね!今日は早く帰らなきゃだからそっち寄れないの~」
琴からだった。
「こんな日に限って!」
茜は不機嫌な顔をした。ほのくらい部室では把握しかねるが、麻衣子に察知されるには十分だった。
「こんな日?」
「琴さんに聞きたい事があったですっ」
「ふうん」
言葉のあやだが、麻衣子は無関心ではない。
「ま、世の中そんなものよ」
忙しいときに来る案件はあり、暇なときに構えてると案件は来ない。
煩く感じる者が慕い、その者が必要な時は都合つかず逢えない。
トイレや風呂に行った時に来客や固定電話や宅配便が来る。
やれやれ。
「でも必然なのよ。今日は13日、明日は14日」
「バレンタインですか?それは日本だけですっ。わたしには関係」
「なくないわ。バレンタインとチョコを結びつけたのは神戸の洋菓子屋だけど、バレンタインは欧州発祥!欧州発祥の重要なイベントよ。ドイツに所縁あるアドルフには当然!あ」
麻衣子のセリフの途中で茜は脱兎した。
清澄茜には手作りスイーツのスキルも知識もない。それを補う時間はない。したがってチョコレートに関しては既製品に済ませるしかない。いや、済ませる事にした。
他の部分で勝負することにした。
「そうだ!花束を付けようですっ」
……。
「ふう。なんとか贈り物が出来たですっ」
自室の机上に茜は包装された贈り物を置いた。
「ぴよぴより♪(ただいま)」
窓からアドルフさんが帰ってくる。彼は手ぶらだ。
「今夜も夢で逢えるでしょうか~?」
「ぴよ?(何だ?)」
アドルフは茜が夢で過去の自分を見ているのをあまり意識してはないようだ。
そんなわけで今日もアドルフの過去の世界へ。
「こんな事ができるのはわたしが魔法騎士だからでしょうか?」
ドイツの街はなんか大騒ぎだった。
「お。日本のお嬢さん。聞いてくれっ」
商店街の人たちが「留学生」たる茜に知恵を求めるべく、事情を語る。
ユダヤ人の大資本家が街を乗っ取りに来るらしいとの噂である。
「日本の田舎でもよくありますっ。スーパーが進出して、結果、商店街が疲弊するという感じですっ」
因みに平成の日本である。この時代ではスーパーマーケットという概念がまだなかった。
「スーパー?」
「スーパーマーケットですっ」
「なるほど、市場を超越した者か。噂のユダヤ人に当てはまる」
「で、日本の場合はどうするんだ」
「商店街が独自のアイデンティティーを確立するべく頑張るべきですっ」
ざわざわ……
中学2年生には大きな課題だった。しかし、茜に使命感が沸いてきた。
「どんな高いお金で条件を突きつけられても、店舗や土地や経営権を明け渡さないでくださいっ」
中には一生遊んで暮らせる程の金額を提示された者もいる。
「けいえいけんってなんだ?」
「あなたが商売をする際に培われた経験や知識、ノウハウに裏打ちされた誇りですっ。日本では社会的に保証されてるのですが、命の次に大切なものですっ」
茜に大歓声が上がった。
「それは気付かなかった!有り難うお嬢ちゃん。我々はユダヤの大資本に屈しないぞ~!」
「屈しないぞ~!」
アドルフ邸。
「ただいまですっ」
「おかえりなさい茜ちゃん♪」
茜も妹もお互い上機嫌だ。
「茜ちゃん聞いて!お兄ちゃんの風景画が売れたの!」
「それは良かったですっ。で買い手は誰なんですか?」
「ああ。ユダヤ人の資本家だ」
と、アドルフ。
「ど阿呆っ!」
続く!
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