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【魔法少女っ】59-3、そんなわけで。

2012年02月12日 21:15

そんなわけで。
日は回り、茜のクラスの立志式の日がやってきた。
式は昼休みの時間帯に予定された。
ギャラリーを稼ぐための配慮である。
暇人が集まるわけだ。
「……暇人ですがなにか?」
有希と琴がギャラリーに混じっていた。
「……今日は茜と小春の立志式か。……興味」
あらあら、わたしはかずねちゃんの立志式を見にきたわぁ」
香住学園でトップクラスを競う美貌のふたりが来た事で、ギャラリーは増大する。
「わっわっわっ。恥ずかしいよ!」
小春の緊張感はますます高まる。てか何を言うべきかまだまだ決めかねる状態だった。
「俺は自衛官になって、この街の平和を守りたいです!」
「お前みたいな弱虫、無理無理~」
言うべき事が具体化してるひとから壇上にあがり、立志の言葉を宣言する。場合によってはギャラリーからは野次が飛ぶ。
「わたしは立派な絵描きになりたいと思います」
「お前みたいなの無理無理~!」
「ふえええん!」
野次にやられて泣き出すひともいた。
「だからこのイベント嫌なんだよ」
小春は泣いてる女の子とすれ違って同情した。

「じゃあ、次はボクが行ってくるね!」
かずねは茜と小春に告げてから壇上に上がった。

「……お前のおとうとだな、琴」
有希は壇上のかずねをそう言った。
注意。かずねは女の子です。身体は。
あらあら。どんな夢を語るのかしらね」

「皆さんこんばんはっ。城西和音です」
覇気ある挨拶に、会場は静まりかえった。
「ボクは災害で家族を失って、平凡な日々を失ってから、この街に来ました。ボクは嘗てそのかけがえのない日常を取り戻したい、だけどそんな事は不可能だと思い悩んでいました」
「え?」
長文なので琴は驚いた。かずねは長い台詞を言えるような頭はしてない方だ。
「しかし、いつの間にか、ボクの周りには友達が出来て、血の繋がりはなくとも新しい家族が増えて、つまり、新しいかけがえのない日常を手に入れてました」
「そんな……」
「……どうした。顔が青い、琴」

「ボクは欲しいものは手に入れました。そして、失う悲しみも知っています。だから、今度こそ、ボクはこのかけがえのない日常を1日1日味わって過ごし、大切にしてゆきたいです!!」
大歓声がわいた。今日のMVPはもはや決まったようなものだ。
ナイスかずね!今のうちに」
壇上に上がる小春インパクトの強い発表の直後はどんな発表でも注目度は下がる。小春はそこで適当な事を言ってやり過ごすつもりだった。
「お。高瀬さんの出番だ」
ギャラリーは静まりかえった。実は小春は琴や有希とは違う意味で学内で人気だったのだ。
あのひとなつこい性格で魔法少女。人気が出ない筈がない。
「えっ、あっ、あのー」
小春ファイトですっ」
高瀬小春です。あたしは……いっぱいやりたいこと、できることがあります。だから、今はまだ具体的な夢を決めてません」

どよめくギャラリー

「それは夢が何かを確定させてない、すべてのひとに当てはまりますが、可能性は無限大なんだよ!だから、あたしはなんになるにせよ、今を一生懸命に生きる!今を生きる。今を生きるだぁぁ」

言うだけ言って、さっさと壇上から落ちる小春だった。

さて、茜はというと。
「わたしはトリを取ります」
だそうだ。発表は最後たそうな。


続く!

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