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助平心の醜態

2007年04月26日 15:31

未だ結婚して間もない頃、仕事で結構あっちこっち出張が多かった。ある日上司から大阪出張を頼まれた。未だ入社して間もない隣の同僚と二人での出張だった。私には初めての場所で一寸渋っていると「僕は広島出身だから、よく大阪は知っているから案内しますよ」と彼が言い、翌日から一泊での出張となった。
新幹線大阪に着いたのが夕方。彼について行きホテルチェックイン後、外に出て夕食をし、暫く歩いて法善寺横町に来た。歌等で名前は知っていたが、着くとそこに水掛不動があり、彼に習って子爵で地蔵さんに水を掛けてながら"あっ、法善寺横町に来たんだ"と雰囲気を感じ取っていた。
すると彼が「これから何処かへ飲みに行きませんか」と言い「そうだね」と答えていると、我々が来た方向とは反対側から一人の和服姿の女性が通りかかった。「ねえ、お姉さん、この辺で良い飲み屋知っている」と彼は声を掛けた。はっきりは記憶に無いが年の頃は30代半ば以上だったか。
彼女は知っているとの事で我々はついていった。少し歩いた所に、赤提灯は無かったが細長い小さなカウンターだけで、6,7人で一杯になる様な小さな居酒屋へ案内した。
既に3人程の先客が居て、もう片方へ彼女を挟み3人で腰掛けた。他愛も無い話をしながら1時間位居たろうか、その間彼は彼女和服の脇から手を入れて何やら動かしていたのは知っていたが、"上手いことやっているな"とは思ってはいたが私には出来なかった。彼が勘定を支払っている時、そっと彼女が私の耳元に小声で「9時に千日でパートの前で待っているから来てね」と言い私が頷き、その店を出て彼女と別れた。
私は何かを期待しながらワクワクし、それでも顔には出さず何事も無かったかのように二人でホテルに戻った。部屋は彼と一緒なので、これから如何言って出掛けるかなと思案したが、これといって良い言葉も浮かばず「一寸酔い覚ましに一回りしてくるわ」と言い残しホテルを後に千日でパートへ向かった。いわれた場所に着いたのが約束の10分程前で、タバコを吸いながら周りをぶらぶらして時間潰しをしていた。
時間になり、10分程過ぎても未だ来ない。
漸く私は担がれたのではないかと思い始めた。でも心の片隅には何か遅れる理由があるのかも知れないと一途の希望めいたものもあり、とうとう30分過ぎまで待ってしまった。
ホテルに戻る道すがら"俺って馬鹿だな、甘い汁に誘われて、同僚に嘘までついて騙されて"と自分の馬鹿さ加減に一人で笑ってしまった。

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