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気になる小悪魔-1

2010年02月20日 14:04

私が香港駐在し3年位経過した頃、2名日本からの増員があった。二人とも日本で一緒に仕事をしていた中で、互いを良く知っている中だった。
その内の一人は私より大分若いが物怖じしないタイプで、私と一ヶ月以上韓国で部下として仕事した事があり、その間気も合っていたのか良く飲み、遊んだ。その男が香港に来るなり「Mさん、最近東京の受付に入った I さんと言う女の子はすごっく可愛いんだよ」と言い、その後も事ある毎に同じ事を繰り返していたから、余程お気に入りだったようだ。
それから数年、私の赴任期間も終わり帰国となった。帰国後には私の今後について等、色々と上部との話し合いがある為、彼女の事は脳裏の片隅にいってて忘れかけていた。
5年と言う赴任は結構永い期間で、その間事務所も色々様変わりしていた。
出社初日、一応受け付けに顔を出すと「お早う」
と私は見て直ぐに彼が話していた子だなと解る、可愛らしいそして男好きのする面立ちの彼女
「お早うございます。どちら様ですか」と多少怪訝そうに尋ねた。早朝からの訪問客は珍しいからだろう。
「Mです」一瞬「誰だろうと」思案気だったが直ぐに私だと解ったようだった。
「技術はあっちだよね」と彼女の左後方を指差すと「ええ、そうです」
私は彼女のブースの横の開け放たれたドアーを潜ると、直ぐに何人かのスタッフに
「Mさん、どうもお帰りなさい」と挨拶された。
技術部の何人かと少し雑談し、他の部へも挨拶に回った。
その夕方、私の帰国歓迎会との事で殆ど全員が揃った様だったが、2,3割のスタッフは私が赴任中に入社したのだろう。その中に彼女も居たが、同世代の女子社員と一緒で、私から遠い席だったので一言も言葉を交わす事もなくその場は終わった。
その後も彼女とは仕事上で必要なこと以外の会話もなく半年程過ぎた。その間上司や同僚からも何度と無く彼女噂話は聞かされた。
確かに男心を引く様な顔立ちなり仕草は感じていたが、強いて私から如何のこうのと言う特別な感情はなかった。
この会社のトップがかなり麻雀好きで、私の帰国で更にエスカレートし、週に2,3回は麻雀をし、その他週に1度位の割合で友人T氏と飲んでいた。
ここでその友人T氏について少し説明した方が後記の流れが掴みやすいと思う。
彼は一人で電子関係の計測機器商社をしていて、私が香港に行く数年前から時々会社に訪れていた。私がその担当だった事もあり多少話はしていたが、特別親しい関係でもなかった。
私が香港に来て3,4年した頃、彼の友人とビジネス香港に展開したい(表向きで本当は半分観光だと後日判明)との事で私の上司だった人から私を訪ねるようにアドバイスを受けて、上司からその件の電話もあった。
その時の彼らは3日程の滞在で、その間朝10頃から午後の4時頃までアテンドし、夜も夕食等を共にしていた。

彼は誰かに聞いていたのだろうが、私の帰国日を知っていて数日後の夕方会社に現れ「どうも香港では色々お世話になりました」と挨拶され、少し話してからそのまま飲みに誘われた。
彼は事務所つくばに構えていて、週に1,2度は東京の客先に商用で来る。元来彼はネオン街が好きで、酒も飲むがそれ以上に女性に興味を持っている方だった。
何度か飲んでいる時、何の話からだか記憶はないが、受付の女の子の話になり、「7月の末頃、私の父の墓参りを兼ねて福井へ78会(七転び八起き)のメンバーで行かない」と持ちかけられ「男ばかりでも何だから、彼女を誘ってみないか。無論彼女一人だと来難いだろうから彼女の友達も連れて」「無論費用は我々で出すからと言う事で、Mさんから聞いてよ」「俺は嫌だよ、彼女とは普段も話なんかした事ないし、自分で誘えば!」
「いゃ僕から誘うより、Mさんからの方が安心するから」
数日後彼女が一人の時、断られるのを覚悟で頃合を見てその通り話した。初めての私からの個人的で急な話で少し戸惑いしているのは感じたが
「友達?」少し思案気に思い巡らせている様子だった。「じゃ少し考えて後で返事を聞かせてくれればいいから」と言い残しその場を去った。
翌日「一人の友達に話したら、良いって言ったけど、彼女とは前の会社で一緒だったんだけど、良いですか?」「全然構わないよ、Iさんさえ良ければ」直ぐに彼に伝えると「良かった。じゃ日程なんか後で連絡するから宜しくね」
数日後彼から連絡があり、メンバーは男は私を含めて4人で彼女等2人の合計6人だった。
私以外の3人は全員自営だから数日休む為、事前に段取りをつける必要があったのだ。
新宿西口に昼近く集合し、メンバーの中の一人のワンボックスカーで出発した。
無事何事もなく二泊三日の旅行は終わった。それまで彼女とは事務的な事意外は殆ど話した記憶はない。
その旅行から半月も過ぎた頃だったと思う。
就業時間が終わり、その日は何の予定もなく退社前一人休憩室でコーヒーを飲んでいた。
するとそこへQC課のE君が来て
「Mさん、一寸話があるのですが今いいですか」
彼を見るとその横に彼女が一緒だった。
私は直ぐに察しがつき「良いけれど、ここじゃなくて、何処かで食事しながら話そうよ」
会社を出て、メトロ銀座に出た。何処といって当てはなかったが、話が出来る適当レストランでも入ろうと思ってた。外に出て少し歩くと、まあまあの店があり、そこへ入った。来る途中断片的だったが、二人は結婚する事になったと言う事だった。
ウェイターへの注文も終わり、
「Mさん、・・・僕たちの仲人をしてもらえないですか」といきなり彼が切り出した。
一瞬声には出さなかったが
「えっ!」と心の中で叫んでた。
続く

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