みどり-96

先週と違うコースなんだって
旅館も違うけど、ここも古めかしくて感じが良い
中に入ると、広いスペースで真新しい深紅のカーペット
ずっと向こうにフロント、
周りに沢山の観葉植物、
左手の奥に池が外から室内にも伸びていて、
大きな錦鯉がのんびり泳いでいます

部屋に案内されると、開けた窓から木々の紅葉が綺麗
川のせせらぎが聞こえてて、何かいい感じ
前にはニコニコしながら、鍋をつつく京介
明日は１１時のスタートで１ラウンドだけ
貴方今夜は我慢出来る?

「出来ないよ。　するからね」

えっ?　まただ

「何で分かるの、あたしの考えている事」
「だから、目を見ていたら分かるよ」
「時々貴方が怖くなるわ。だって見透かされていて」
「隠し事は出来るかも知れないけれど、嘘は付けないな私には」
「隠し事も出来ないわよ。
　いえ、隠し事なんて絶対にしないわよ。　約束します」
「そんな約束しない方がいいと思うよ」
「もう、しちゃったもの」
「だったら、私に隠している事、言ってごらん。
　一つや二つは有る筈だよ」
「隠してなんていません。　
　聞かれてもないものを進んで言っていないだけ」
「当ててみようか」
「どうぞ」
「雅恵ママの事、何てどう?　目が変わった、図星だね」
「怖い人。　貴方、心理学専攻したの?」
「ああ、取ったよ。
　心理学修士でカウンセラーの免許も持っている」
「あーあ、やっぱりね。
　捨てられても、すぐ出て行けと言われても、仕方がない」

みんな話しました
あたしが真剣に覚悟を決めて話しているのに
彼ケラケラ笑ってるんです
何で怒らないのよ?

　　　　　　　・・・つづく