座っている時ほど彼の指に触れたくなります

鍵盤を優しく叩く長い指先が
時折ピアノを弾くようにテーブルの上で踊ります　

「触らせて♡」と言う勇気がないまま見つめていると　彼が不意に笑います
「何かあった？」と柔らかく問いかけながら　私の方へ身体を向けました

その動きだけで部屋の空気が変わります　窓から差し込む午後の光が彼の横顔を照らし
チョコレートソースの香りが漂います

「これ・・・♡」私がチョコアイスを指差すと　彼が身を乗り出して一口食べました
口の端についたチョコレートを無意識に舐める仕草に心臓が跳ね上がります

「美味しい？♡」「うん・・・でも冷たい」
彼の言葉の最後は小さく掠れていきました　その視線は私の唇を見つめています

何を求められているか分かりながら　恥ずかしさで目を逸らしました
「食べさせてあげようか？」

意地悪そうな声色に　思わず首を縦に振ってしまいました
アイスクリームを私の唇に近づける彼の指が少し震えているのが分かります

お互いの緊張が愛おしい

あなたに素敵な時間が訪れますように