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【魔法少女っ】68-4、魔法少女の卒業式。
2012年04月19日 19:55
話しは3月中旬に戻る。
卒業式の事だ。
しかしエスカレーター方式の香住学園にとって、中等部の卒業式は簡素なイベントだった。
中等部三年生は次の4月に隣の高等部校舎に通う変化はあるものの、大まかな生活は変わらない。
他高校に受験して去る生徒はマイノリティだった。
事実、3年B組で香住を去るのは麻衣子だけだ。
式が終わり、教室に戻ると、どよめきが起きた。
麻衣子の送別会が始まったのだ。
「青柳さんっ。東京に行っても私達の事を忘れないでね」
クラス委員長が色紙寄せ書きを麻衣子に渡した。
「そんな事、知らないのよ」
いつものように麻衣子はあしらう。
「くー。いつものクールな青柳さん、痺れる~」
男子どもが悶える。
「忘れるまでもなく、またすぐに来るのよ。錦を飾りにね」
不敵な笑いで麻衣子は宣言した。
「おおお~」
ま、これくらいのハッタリ、許されるわよね。
「あと、これは街の住民としてなんだけど、街を護ってくれてありがとう!」
委員長は深々と頭を下げる。クラスメイトもそれに続く。
「な、なにを言ってるのよ。わたしは知らないわっ」
すっとぼける麻衣子。別に魔法少女活動は秘密ではないが、改めて宣言するものでもなかった。
「頑固ねぇ~青柳さんもぴよちゃんも」
ぬいぐるみ然としたアドルフにクラスメイトは言う。
「ぴよぴよ!!」
驚いて教室を飛び回るアドルフ。
「さて、青柳さんからも何か言ってもらいましょうか」
間を置く。
「仰げば尊し和菓子の恩っていうけど、和菓子に対する恩義ってなんなのよね~♪」
教室は爆笑に包まれた。もちろん、知ってて言ってるのだ。
「ぴよ?」
ドイツなアドルフにはギャグの意味はわからない。
ちゃんちゃん。
羽前千歳。
「そんなわけで麻衣子先輩は卒業式に涙しなかったですわね」
人づてに聞いたエピソードを茜と小春に話す千歳。
「わたしはアドルフさんと離れた事に涙したですっ」
アドルフは麻衣子と同行し、東京へ旅立ったのだ。
「で。千歳、水泳はどうなってるん?」
「ぼちぼちですわ。わたくしのすくみず姿で小春を悩殺してみますわ」
歩けるようになったとはいえ、まだまだ千歳の脚は健常者と同レベルと認められず、水泳の公式戦エントリーは不許可だった。千歳は水泳部での活動をリハビリ的なものと割り切り、楽しむ事に決めた。
もちろん、演劇部としての活動も疎かにはしてない。細々とした作業を中心に演劇部で活動している。
「さて、そろそろですわね」
時計を見ながら千歳は呟いた。
「お嬢様、お迎えにあがりました」
野太い声の大柄な老執事。パトラッシュだ。秘書的なメイドサラの後任として千歳に仕えているのだ。
「それでは皆さん、ごきげんよう♪」
「また明日ですっ」
「お疲れ様だよ」
ブロロロ……
安全運転で学園を発つ羽前家のベンツだった。
続く!
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