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【魔法少女っ】67-6、かけがえのない……

2012年04月09日 07:26

怨念達は語り始めた。
「たったひとり死ねば、世界は脆く崩れるものだ」

「何の話ですの?」
ピンと来ない千歳

「お前たちが大切に護ってきたかけがえのないものの話だ」

かけがえのないもの……日常。日々が当たり前であること。

「アドルフは妹を殺された事でそれを失った」
「チャウシェシュクは最愛の妻を病で失った事で悪の道を選んだ」
スターリンだって表には出してないが、かけがえのないものを失ったか手にしなかったかの何らかの想いがあるのだろう。そして」
皇帝ネロ前世は平穏な日々が祖父の死で瓦解しのたれ死ぬまで至ったのだ」
つまり。

「たったひとりの死が世界を壊すのだ。お前たちもな!!」

「なればこそ!」
茜は叫んだ。
小春は最強ですっ!」

小春はお兄さんを事故で失って、それでもなお……いや、だからこそ新しいかけがえのない日常を作り、護ってきたんですっ」

「そんな小春を失わせるわけにはいかないですっ」

茜は渾身の火炎魔法を放った。

火炎は魔物の群れにぶつかり、小春拘束した触手が弛む。

「ありがとう茜。茜も最強だよっ」
触手を抜けて、冷気魔法触手の主達を撃破する。

「なぜだ!なぜだなぜだなぜだ~!!」
怨念達は問う。何がなぜだといってるかはわからない。しかし、彼らにもやりきれない想いがあるのだろう。

あらあら。同情するわ~。お金はないけど」
「可哀想なんだよっ」
嘗て「かけがえのない日常」を奪われたもうふたりが駆けつけた。琴とかずねである。

「うるさいうるさいうるさ~い!」
怨念ターゲットをその二人に変えて触手を伸ばしてきた。

「同情や憐れみなど要らん。お前たちは我々の思念を受け入れて、第二のネロとなるか死ねばいいんだ!」
怨念とは理不尽で勝手なもんである。まるで人間のようだ。
「やなこった。よぉ~。甘えん坊はかわいいけどね。うふふ」
「琴姉とおんなじ。ボクは大切なもの亡くしたって負けないよっっ」
特に抵抗手段はないが、二人は毅然とした態度を示した。
ずびゅ~!
ふたすじの光が、二人を守るようにして触手を焼き払った。
「……良く言った。それでこそわたしの親友だ」
外野が口出しでなんだけど、わたしも茜達が正しいと思うのよ」

有希麻衣子だ。琴とかずねを連れて、茜達の待つ校庭のすみに集まる。
「これで7人揃いましたっ♪」
楽しそうに言う茜。

「ええい!我々が負けるかぁ!!」
怨念魔物を一ヶ所に寄せ集め、凝縮して合体した。
ずぎゃあああああん!

巨大な鳥だんごみたいな物体になった。
良く見ればいろんなものが不規則的に合体してるのだが、その混沌とした合体はやはり鳥だんごとかさつま揚げみたいなイメージだ。

「せめてお前らだけでも討ち滅ぼしてくれるわ」
そんなこと達成しても何の解決にもならないから、怨念の負けは確定であるが、諦めきれない執念はわかる。


「これが、最初で最後ですっ」
茜達は変身を解いた。
「……ん?」
千歳が目で促すので有希も変身を解いた。
「良くわからないけど」
麻衣子も変身を解いた。

「最後はみんなで勝つですっ」


続く!

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