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【魔法少女っ】25-2、喪服と礼服とメイド服【地球】

2011年08月13日 04:32

ちーん。
ぽくぽくぽく
なんまいだ~。

兄さん、お元気ですか?
小春は今日も元気です。
最近、また友達が増えました。
機会があれば、紹介しますね。

「ご苦労様でした」
足の痺れに苦しむ参加者達はリラックスして脚を伸ばす。
今日は小春の兄・高瀬秋紀の三回忌法要が行われた。
二年前のこの季節に、当時大学生の秋紀は交通事故でこの世を去った。
遺言らしき残すメッセージは何もなかった。

「あれ?」
参列者の中に見知った顔がいたので小春は近づいた。
千歳とサラである。
「これは奇遇ですね」
とサラ。どうやらお仕事モードに頭を切り替えている模様だ。
小春、こちらの方は?」
小春の母・高瀬春夏(はるか)が尋ねた。親戚筋で来たのではなさそうだ。
「母さん、紹介するね。中学での友達の千歳だよ」
嬉しそうに紹介する小春
はじめまして。羽前千歳です」
「こちらは志となります。お納めください」
サラが恭しく志を渡した。
志には個人名ではなく、会社組織名が書いてあった。
「はねまえ……」
春夏の手がぶるぶる震えた。
「受け取りたくありません。お引き取りを」
弱々しく、しかしながら強く、春夏は拒絶した。
「母さんっ」
逃げるように離れて行った。
「やはり、そうなりましたか」
平静にしてサラは言った。
「今日は父の代理で来ましたの」
父とは羽前コンツエルンの会長だ。
秋紀をはねたのは、その系列会社のバスと従業員だった。
羽前コンツエルンは香住町のある市を実質支配する巨大企業で、それに逆らうのは村八分を覚悟しなければならない程だ。
だが、息子を失った春夏にはそんなの関係無い。むしろ憎しみを増幅させていたのだ。
「かたき、ってわけね」
千歳の手を握る小春
「でも、千歳が兄さんをはねたのではないのだから、気にしないでね」
微笑みかける小春
「違いますよ、小春さん。千歳が秋紀さんをはねたんですよ」
冷徹な言葉をサラが放った。
「何言ってんの?サラ!」
お嬢様はゆくゆくは羽前財閥をしょって立つ者。財閥の長、帝王たる者、凡ての部下、従業員の罪を身に受けなければなりません」
「何を言っているの!」
中学二年生でも、二年前の当時小学生たる千歳がバスを運転してるわけではないという事は解る。サラの言うことはデタラメだ。
「会社の罪を背負うのも、帝王学のイッカンですよ」
小春ははじめてサラに敵意を覚えた。
「そんなこと、兄さんは望んでいないっての!」
殴りかかる。
ばしっ
受け止めるサラ。
「今はお嬢様の護衛です。容赦しませんよ、小春さん」
逆切れかよ」
拳をしまう小春
「とにかく、サラは間違ってる。兄さんの事を、千歳が気に病む必要はないから」
法要から引き上げる親戚衆に呼ばれるかたちで小春は去る事となる。
「あの、これを…」
千歳は春夏に振り払われた志を小春に渡した。
「んっ。確かに受け取りました。ご苦労様です」
にこっと笑う小春
「じゃ、また明日、学校で♪」
「はい」

「……いいお友達を得ましたね、お嬢様
車椅子を押しながら、サラはそう言った。
「私には小春さんのようなひとはいなかった……」
「サラ、泣いてるですの?」
……。

続く!

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