藤川黒髪に変身

2011/1/18 9:28 配信デイリースポーツ
球児、小林宏さん来て“あれ”目指そうよ
宜野座球場を横目に黙々とランニングする藤川＝沖縄・宜野座


　阪神の藤川球児投手（３０）が１７日、沖縄県宜野座村の野球場で自主トレを公開した。ロッテからＦＡ宣言した小林宏之投手（３２）の獲得に動く球団に対して、守護神は「自分のことを考えてくれていることが分かった」と感謝。６年ぶりの覇権奪回へ、身を粉にして戦う決意で「チームで一番元気でいます。みんなを納得させます」と、２０１１年の活躍を約束した。
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　南国の強い日差しが照りつける地で、守護神は一心不乱に走った。黒く染めた髪から大粒の汗が落ちる。胸にあるのは『感謝』の２文字。オフの契約交渉や、補強に乗り出す球団の姿勢。藤川の背中を突き動かすには、十分過ぎる発奮材料だ。
　現在、阪神はＦＡ宣言した小林宏の獲得に動いている。「球児の前」という長年の補強ポイントだ。昨季、藤川はイニングまたぎが１３回で、２イニング登板が４回。体は酷使され、０６年からの本格的ストッパー転向以降、防御率２・０１と最悪の数字に終わった。０６年にはＷＢＣ日本代表として、共に金メダルを目指して戦った仲間。小林宏の獲得は、そんな状況を打破できる補強だ。
　「宏之さんが来てもまた楽しいだろうし、良い勝負ができる。チーム内に競争もでてくるだろうし。僕にキツい場面ばかり行かしてたというのを感じてくれたし、球団には感謝しています。こんないい球団だったんだなって、今更ながら思いました。本当に感謝です」
　獲得が決まったわけではないが、球団の姿勢に胸が熱くなった。元旦に坂井オーナーから届いた年賀状も、その１つだ。「内容は伏せますが、ものすごく長い文章で。僕の心情をすごく理解してくれた言葉だった。この人のために頑張ろうと、本当に思いました」。直筆で書かれた一言一句が心にある。孤独なマウンドに立つ守護神だからこそ、文字にして伝えられた感謝がうれしかった。
　１１日から始めた沖縄自主トレでは、ハードなランニングメニューを連日消化する。この日は５キロのランニングに１００メートルダッシュ×１０本、５０メートル×２０本、３０メートル×３０本…。前日には坂道ダッシュを４０本繰り返した。「ランニング量が多すぎて、キャンプ中もヘトヘトで投げられないかもしれない。ただ、それでも全然構わないと思う。目の前のことにあまり必死にならず、僕の今後を見据えてやっていきたい」。オールスター出場時に中日・落合監督からランニングの重要性を説かれた。金言を胸に、走り込み中心のトレーニングを続ける。
　今季使用するグラブには「ブレない自分を持つ」と黒革を使用した。刻んだ文字は『Ｎｏｔ　Ｗｏｒｄｓ　Ｂｕｔ　Ｄｅｅｄｓ』。不言実行という意味だ。「とにかく勝ちたい。“あれ”を目指して頑張りたいね」。優勝の２文字はあえて胸にしまった。６年ぶりの覇権奪回へ、火の玉ストレートは次のステージを走る。