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必死のパッチ!

2008年09月10日 08:20

必死のパッチ!

元祖「必死のパッチ阪神矢野サヨナラ弾
2008年9月10日(水) 8時2分 サンケイスポーツ

 (セ・リーグ阪神3-2ヤクルト、18回戦、阪神10勝8敗、9日、甲子園)伸びたァ、決めたァ! M点灯や!! 阪神は九回、矢野輝弘捕手(39)の4号ソロで今季8度目のサヨナラ勝ち。巨人が敗れたため、優勝マジック「20」が点灯した。ヒーローはお立ち台で「必死のパッチ」を連呼。6度目のマジック生活。もう消すな。『必パ野球』でイッキに走れ!!

 ひたすら粘った。今年で40歳、プロ18年目の大ベテランが「必死のパッチ」で食らいついたからこそ、奇跡が起こる。本人すら予想しなかった放物線が右中間へ伸びた。聖地を揺るがすサヨナラ弾。矢野が右腕を突き上げ、6度目のマジックが「20」で灯った。

 「まぐれです!! バットを短く持って、謙虚にいったら…皆さんの声援が本塁打にしてくれました。キッカケ? そうしないとダメでしょう。必死のパッチです」

 休養予定から一転、九回に藤川登場と共にマスクを被った。その裏、無死から打席へ。押本から粘りに粘って11球目、甘く入った137キロをとらえた。「最近、本当に球が飛んでなかったから、まさかね」と矢野が言えば岡田監督も「食らいつく姿勢を見せてくれた。何とか塁に出て欲しいとは思っていたけれど…」と苦笑いだ。

 出場32試合ぶりの4号は甲子園で2年ぶりの一発。しかも最深部だ。サヨナラ打は2年ぶりだが、サヨナラ弾となれば03年9月5日の横浜戦(甲子園)まで遡る自身2度目。歴史を紐解く劇弾は「必死のパッチ」以外、何モノでもない。

 「元祖はボク。(関本から)パクったみたいですが、返してください!!」

 お立ち台からベンチの後輩に訴え、客席を沸かせた。7月22日の巨人戦甲子園)。初マジック(46)を灯したお立ち台で矢野が叫んだのが元祖。「(同点で登板した)球児の気持ちを一番近くで受けているのが、オレやしね。カネもいつもチームを引っ張ってくれて頭が下がる。うまくいかない中でも、みんな必死にやっているんや」。

 悔しい結果に終わった北京五輪だが、代表を率いた星野氏こんな“証言”をしていた。昨年アジア予選の韓国戦。阿部巨人)に代走を送り、終盤を矢野に託した場面ー。「ブルペンからたまたまテル(矢野)が伝令に来てな。その顔をみたら思わず叫んどったんや。『テル、行け!!』ってな」。中日の1年目から知る指揮官にとって、不惑を前に何も変わらぬ顔が何より、嬉しかった。矢野は、そんな男だ。

 「(巨人は)気になるよ。なってなって仕方ない。気にしないなんて絶対無理や」

 昨年5月から続く“適時打本塁打含む)不敗神話”を29勝1分けに伸ばし「(中日は)勝ったん? はよ試合終わってくれ」とつぶやきロッカーへ。その2分後、ゲーム差は5に広がった。今までも、そしてこれからも必死に…。その姿勢が歓喜の瞬間を呼ぶ。
[9月10日 8時2分 更新 ] サンケイ

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