やっと勝った！

３－３の同点で迎えた延長十二回。赤星が中前打で突破口を開いた。平野が送り、途中出場の桧山の右飛で赤星が三塁を奪う。金本敬遠などで二死二、三塁。ここで鳥谷が決めた。

　外角の速球を鮮やかに左前へ。２者を迎え入れた。「試合前『みんなで初心に帰ってやっていこう』と話していました」

　十回にも金本の四球後の二死満塁で打席に立ったが、二ゴロと凡退。唇をかんだ。十二回に再び歩かされた金本を見て「何とかしたいと思いました」。そのとき、ベンチの岡田監督は「カネ（金本の敬遠）もきついけど、もう（あの場面は）トリ（鳥谷）しかおらんからな」。ようやく岡田監督の期待に応えられた。

　２位巨人の足音が迫っていた。この日、そのライバルが敗れたため、その差は４・５ゲームに。５度目の優勝マジック２２が点灯したものの、楽観できる状況ではない。岡田監督は「流れ？　あした（７日）やろうな。（この勝利で）流れが変わるとか、そんな気持ちになれん」と厳しい表情を崩さない。

　それでも、ベテランの桧山は胸を張って言った。「普段勝つのと、こうやって勝つのとでは全然違う。大きいよな。ひと回り大きくなれるというか」。ナインがどれくらい気持ちを切り替えられたか。これから本当の強さが試される。