46才主婦との帰り道｡少年､少女に戻り…

｢うなぎ｣の主人公夫婦は､子供がいないようだったし｡少し設定は違うけど｡お互いが当たり前に日常を過ごす中で生まれたこころのすれ違い｡その日常に潜む闇は恐らく共通のﾓﾉ｡埋めがたく､しかも蝕み続ける｡
彼女は､その闇から逃れるためにｽｸｰﾙに通うようになったのは､間違いない｡すると自分の役どころは､修羅場からひとり難を逃れた卑劣な不倫相手?って(苦笑)…
彼女､歌手になりたかったんだって｡美人だし､歌は上手いし､自信はあったんだろうね｡なりよりも､中三ﾄﾘｵとかのｽﾀ誕世代だから｡普通の子が､ｵｰﾃﾞｨｼｮﾝに受かれば､一夜にしてｽﾀｰにって｡皆､憧れた｡家族ごっこの果てに見えた終末の影を前に､思春期の夢を蘇らせようとしたんだろう｡
自分は自分で､夢を膨らませようとしていて｡まるで､中､高生のｶｯﾌﾟﾙが学校の帰り道､ふたりで夢中になって夢を語り合うみたいに｡もちろんお互いの悩みとかもね｡そんな風に､ｽｸｰﾙから駅までの10数分をふたりきり歩きながら｡それだけのこと…
それだけなのに｡ほっと､胸に温もりが｡多分彼女の胸にも｡その時には､少女のように小さくて繊細な彼女の胸のなかに｡自分がきっと灯せた光があるんじゃないかなと…