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出会い系の女34

2013年05月08日 14:57

男はトラウマの女とカラオケ女の混乱で、寝つけれなく、今日は8時過ぎに起きた。

今の男のアタマでは、トラウマの女とカラオケの女はまだ両立しないだろう。

男は朝食はしない、腹が減らないという、単純な理由からだ。

テレビやPCに目を通した。

10時頃になると、図書館に行く。
日課ではないが、人の集まるところに身を起きたいという、それだけの理由だ。

書棚で本に目を通していると、

田山君、

あっ、青木さん、先日はどうも。

退職前のときの会社の先輩である。

何日ぶりかである、二人はテーブルで向き合って、近況を話し合った。

青木は、言った、

オレの先輩で、日野さんと言って、も、75になるんだが、
彼は、今、アルツハイマーだ。

青木は70で、癌であと5年の命とを医者に言われて、一気に老けてしまった。
気が萎えてしまった、アノ、ムカシのモーレツ社員の面影はない。
営業成績は抜群で、同僚後輩たちの羨望の的だった。

その点、男は最初営業にいたが、成績は上がらなく、まったく向いていないと見え、
総務課に変わった。

だから、給料といえ、退職金といえ、この男より青木は倍くらい違う。
手っ取り早くいえば、この男は会社人間として、落ちこぼれである。

しかし、人生はわからないモノである。

会社を辞めた後、どうも、この二人は違う道を歩んでいるようで、
まるで逆転しているようだ。

この男は女と交わって、はつらつになって、
青木死神に取り憑かれたように、元気がない。


彼の奥さんが言うには、も、物忘れが激しく、日常生活も満足に過ごせないそうだ。

青木は自分の先輩の日野のことをしゃべった。

日野さんは、入社時にはオレは、あの人を目指したモノだが、
仕事がよくできて、オレみたいな後輩の面倒見もよかった。

そうですか

相づちを打った。

病気とはいえ、なにも覚えていないとは、過去がなくなることだな

青木は寂しそうに、言った。

過去とは自分のイデンテテイである、つまり、人間としての存在、
これがなくなることを意味した。

続けて、

オレも、あと5年の命だから、

ハハハハ

力なく、そして、意味もなく笑った。

この男には、答えられない。

きまじめな男である。

年よりは病気の話しと葬式の話ししかない。


わたし、本を探していますから、

と、男は席を立って、本を探しに行った。

先輩の青木は、机で椅子に座ったまま目を閉じていた。


人は棺を蓋うまでわからないと言うが、ほとんどが、棺を蓋う前にわかっている。

も、会社を辞めたときからわかっているのだ。
後は、残酷老後が待っている。

男は、2万円の女でコペルニクス展開を成し遂げたから、
会社を辞めた後に、フツーとは反対に張り合いが出た。
反対に、男は青春になった

もし、2万円の女であの鮮明な美しいまんこに感動しなかったら、
この青木とお同じような、寂しい老後になっていたかもしれない。


フツーの心やさしいニホンジンは、間違っているのだ。

男は思った、ニホンジンは女を大事にしてこなかった、
蔑んできた、
だから、セックスがわからない、

もしセックスがわかっていれば、会社を辞めようと止めまいと、
女と男が関わるこの人生で、すばらしい世界になるのに。

女と男セックス抜きでは、意味をなさない。
両者が交わって、ドラマが成立する。

しかし、一方を蔑ろにすれば、ドラマは成立しない。

いままで、この男がそうだったように、
日本の文化風土が、女を蔑ろするように組み立てられている。

もし、この間違いに、青木の先輩の日野も、そして青木も、
この男と同じように気づいて、コペルニクス展開を起こせば、
会社を辞めた後、大いなる青春を送ったかもしれない。

会社にいるときは、
女と男ドラマがなくとも、会社に追い立てらて、時間はあっという間だ。
しかし、会社がなくなってからは、
時間を追い立てるものがなくなる。

時間に取り残されてしまう羽目になる。

しかし、女と男ドラマがあれば、時間は流れる。

どんな映画や小説ドラマでも女がいないものはない。

しかし、老後は、男に女がない、女に男がいない、

老後セックスがない、

老後青春破壊している。


しかし、この男には、今、時間が流れている。

時間が流れているから、今が、すごく楽しい

2万円の女とカラオケの女が、この男に時間を上から降り注いでいるのだ。
そして、トラウマの女もこれに加わろうとしている。


男は先輩の青木から受けた、凹んだ気持ちを持ち直して、書棚を見た。

本の背表紙を見ているだけでも楽しい、読む気がなくても。
図書館で過ごす時間が、楽しい
なぜなら、多くの人と一緒にいるという意識だけで、楽しいのだ。

人は本来群れるのだ、群れることで落ち着く。
何ごともしなくても、群れているだけでイイのだ。

男はしばらく、図書館で、時間を過ごした後、青木に挨拶して家に戻った。

帰りがてら、食堂に入って、ラーメン餃子を食った。


1時頃、自宅に着くと、

トラウマの女からメールが来ていた。


あんぽんたんさん、メールありがとう。

男のハンネはあんぽんたんと言った。
今まで生きてきてあんまり、イイこともなく、これと言ってなんの取り柄もアルでもなく、
タダ、タダ、キマジメであった。

もう一つは、カカシも候補にあったが、あんぽんたんの方をとった。


あなたにも人に言えない、ナヤミがあるのね、
ハハハ、こんなコト当たり前ね。

わたしイ、あなたのヒミツ聞いちゃったから、
ワタシのヒミツのトラウマ、ぜんぶ話しちゃうね。


それで、続きね。


わたしね、高校卒業すると、アタマがヘンになってるでしょ、
も、廃人で、人間じゃなくなってるものね、
どういうことかっていうと、

感情が、ワタシの感情がちっとも動かないのよ。
喜怒哀楽がなくなるの、
感動がなくなるの、
なに見ても、なに読んでも、
涙が出なくなり、怒りがなくなるの、
もちろん、笑いもよ。

タダ単に、空気吸ってるだけなのよ。

それでね、東京専門学校に行ったの。介護士ね。

ホントは、ぜんぶ、今までのことを捨てたかったのよ。
何もかも捨ててね、一人きりになりたかったの。
しかし、そんなこと、できっこないわよね。

彼は地元で就職しているわ。

子供は堕ろしてるから、周りは知っているわ、
でも、暴力セックスはおたがい誰にもに話さなかったから、
誰も知らないわ。

話したのは、今、あなただけよ。

一人になるとね、カラダがキシキシ音を立てて、痛むの。
カラダがねあの暴力を要求するのよ、

ヘンでしょ、

アノ暴力のために逃げたのにね。

するとね、あの焼け付くようなヒリヒリするセックス快感が、
体中に火照るの。
疼くといっいった方がイイかしら。

も、苦しくて苦しくて、たまらないの。

アノ、ヒリヒリするような焼け付く快感が、ほしくてほしくてたまらないの。
ワタシの感情がなくなってるでしょ、

感情がなくなった代わりに、焼け付くようなセックス快感だけが、
ワタシが生きてる証拠になってしまったの。

ちょうど、アルコール患者が酒を求めるようにね。

ワタシ、思うの、あのアルコール中毒患者って、
酒を飲むことでしか、生きてる証拠なんじゃなないかなって。、

だからネ、別れた彼を、意識が追いかけるの、

ヘンね、

あれほどにくかった彼をね、
あれほど殺したかった彼をね。

ワタシの意識が追いかけるの。


これから、地獄の苦しみが始まったわ。














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