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ルーブル美術館展、大工ヨセフ

2009年05月16日 10:10

しかし、展覧会は中に入るとかなりの混雑。最初の部屋にフェルメールがあるからか?これただ、分かっていても拍子抜けする程の小品。しかし覗き込むように見れば、人だかりするのも不思議ない世界が確かにある。静謐感とでも言えばいいのか。日常の動作の一瞬を切り取ったスナップショットだが、そこには確かに永遠がある。一見猥雑な日常に潜む永遠静寂。無心にレースを編む少女の営みの透明な美しさは息を呑む。下敷にある聖書らしき書物は、何気無い日常にこそ宿る神の意思の象徴…
人だかりを更に掻き分け、レンブラントの若き日の自画像。これはまた、なんと野心に満ちた!若くして特別な成功を手に入れた画家の溢れるような精気。それは、より内面深くうがたれていく自画像の井戸、その変遷の出発点でもある。まだ、決して振り返ることはない。自らの内面を振り返るとも思えない。そうした若者である画家。しかし、彼はその未来に向かう精気に満ち溢れていた時代にも、生来の彼の特質に従っていた。自らを深く振り返り見つめる…
リュートを持つ男。この時代は風俗画が盛んに書かれるようになる。また、対極として貴族の肖像画も多く描かれるようになった。ともにある意味宗教すなわちカトリックのくびきから解き放たれた彼方に生まれた。宗教改革の時代の賜。そしてハルスが道化を生き生きと描いたこの画はまさしくその時代を象徴する。その歪みを秘めた笑顔は今を生きる我々をも見透かしているかのように。
マルガリータはなんとしても可愛いい。ベラスケス工房の作品とのことだが。この絶対王権時代、やがてスペインからヨーロッパ覇者ハプスブルグ家に嫁いだ可憐な花がはかなく散った事を思えばなおさら…
そして、大工ヨセフ。闇にロウソクの灯。透ける指先。ラ・トゥールの夜の一連の作品群。もちろん初めて見たのは美術全集に過ぎないが。それでも十分に魅惑的かつ衝撃的。すべてを飲み込もうとする宇宙的な闇。仄かなロウソクの灯はその闇から生命を照らし出す。仄かな生命の灯。指先は血流も透き通るよう。神の灯、生命の輝き。仄かな、しかし確かな、そしてはかない…ヨセフは、木をうがつ。息子の架る十字架を暗示するがごとく。神の子は、神の灯に静かに命を燃やす。現世の仮の父親が、己が原罪の贖罪のいけにえに我が子を差し出そうとするかのごとき姿をただ見守るのみ… 神秘の画家の真に神秘を表すその神聖な画…

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