どうしても説明のつかない出来事が…

特に不気味なのが、正体不明な日雇い労務者風の男が住む借家。ボロ家の風情がまず不気味。薄汚い男は何かしてきそうでリアルに不気味。ごめん、これはただの多分偏見…
でも、なんといってもその家に数ヶ月前まで殺人事件の被害者が住んでいたという事実。それも殺される日まで。もちろんそこで事件が起きた訳じゃないんだけど…
被害者は女性だった。バツイチで、地元の料理屋に仲居として勤めていた。確か地元出身ではなく、流れてきたひと。多分、訳ありの人生。で、その借家にひとり住まい。殺されたのは茨城のラブホテル。首を絞められて。歯科医との不倫の果てだった。関係が割り切れなくなったとか、そんなことだったか。歯科医は近隣の街で開業していて。知り合った経緯などは知らない。それなりのニュースネタにはなった。もちろん地元では格好の主婦の井戸端ネタ…
だから妻もよく知った話。でも借家に彼女が住んでいたのは後で知らされた。心細い環境を倍加する。塾を閉める時間は夜。妻は最初から不安がっていた。子供達が帰り、ひとりで片付け、戸締まりする時など。言い様のない恐怖に襲われると。もちろんリアルに男に襲われるんじゃないかなんて恐怖もないまぜになるし…
話を聞いて、自分ももちろん心配になった。仕事から早く帰った時は迎えに行ってやったりもした。行ってみれば、確かに男でも背筋が寒くなるような…
時々深夜、家にすぐ切れる電話があって。自宅のＦＡＸ兼用機。で、何回目にか、突然送受信履歴が。随分前のＦＡＸ機だけど、ＦＡＸの送受信履歴はプリント出来た。ただそれが操作もしてないのに、突然！驚いて調べる。妻の塾の番号が！さっきかかって来た電話。いや、何回も！過去履歴。この間からの深夜の電話はみんな…　問題は塾にはただの電話機しかないこと。もちろん塾は無人で戸締まりはしてある。そして送受信履歴には絶対にＦＡＸ以外の履歴は表示出来なかった…
時々で。１年位続いたか。深夜の電話も突然の履歴のプリントも。これ、どう説明をつけようとしても無理。霊能屋的な安易で怪しげな説明はつけたくない。でも、説明をつけられない事実は残る。不気味な事実のみが…
殺人被害者も正体不明の男も関係はないだろう、多分。ただの脈絡もない不気味な背景。やがて、なんとなく終わっていた。ただ、妻は…