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4時間で読みきりました

2007年12月27日 23:03

4時間で読みきりました

『毒ガス開発の父ハーバー愛国心を裏切られた科学者 』(朝日選書 834) 宮田 親平著 235頁 本体1200円

今日私がMIXIに書いたレビュー

本日青春18切符東京から大阪に帰ってくる時、
ざっくり4時間ほどで読み切った一冊。
というか、読み切れるんです。タイトルに「科学者」と
ありますので、化学式元素名か何か出てくるかと
思いがちでしょうがそんなのはあっても気にならない。
ではなく、ノーベル賞も取ったこの著名な科学者
なぜサリンチクロンB・マスタードガスなどの
毒ガス製造に手を染めてしまったのか、彼の生涯を
追いながら検証していった書です。

私が一番印象的かつ皮肉だと思ったのは「チクロンB」
アウシュビッツなどでユダヤ人大虐殺を行う際に
使用されたガスですが、元々は害虫駆除用として
ハーバーらが第一次大戦後に開発したガス。
これにより結果的に彼の親族も虐殺されていること。

それと巻末に著者が紹介したベルギー・イーブルの
戦争博物館」を訪問された時に入り口に掲げられていた
H・G・ウェルズの一句「世界の全ての知的な人々は、
災厄が迫っていることを知っているのに、それを防ぐ
方法を知らなかった」という言葉は、ハーバーの一生を
追いかけた跡に読み返すと、重い響きと持つと
確信します。彼の氏育ちもさることながら、劣等感
ばねに這い上がろうとした人生のあまりに残酷とも
卑劣とも言いえる生き様、如何様にでも解釈できる
一冊であると思います。

これだけでは本の中身が分からないのでもうお一方のレビュー

ノーベル化学賞を受賞したドイツ化学者、フリッツハーバーの生涯を描いた伝記。ハーバーはタイトルのとおり塩素ガスやイペリットなど毒ガスの発明者である。
 著者の宮田氏は医学ジャーナリストだそうで化学的な解説も読みやすく面白い化学に明るくなくても大丈夫ですぞ。
 ユダヤ系のハーバーは苦労して空中窒素固定法を確立ベルリンの研究所の電気化学部の所長に就任するが第一次大戦が勃発、愛国心ゆえに毒ガスの研究にとらわれるようになり、遂には親友アインシュタインから才能を大量殺戮に用いられていると言われる。戦後殺虫剤チクロン」の開発海水から金を抽出する実験に取りかかるのだが…
 読み物としては表紙と裏腹にバリバリの軍事モノではないので読みやすい、ただ、ハーバーの不確かな出生に拘ったせいか第一次大戦の毒ガス戦や日本、シオニストたちとの関わりが少し物足りないような。(とは言えこの手の本にしてはかなり詳細に書かれている)お暇ならどうぞ。

最後に、人間の存在とその生き様って、基本的に自律的に自己努力で生きなさいというのが私の基本的な考え方ではありますが、それだけではどうにも抗いようのない時代背景・文化背景・きまり・政治体制など色々な外的要素が絡んで始めて、その人の生き方が動かされるという点は否定しようがありません。ですので、全ての状況に対し先ずは「寛容」であること、寛容さと慈悲が相俟って相手の全存在を受け入れることが出来るのか、という想いも持っています。ハーバーはたまたま自分を受け入れてくれる要素がその当時のドイツ社会にないと思ってしまった(ユダヤ人だから)側面が、その後の彼の言動を決める時点において非常に強く働いていると思います。どこまで寛容でどこまで自己を貫くか、これはいつの時代でも続く永遠テーマなのかもしれません。少し深読みしてしまいました。

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