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sosishu

2011年08月06日 13:24

私立修徳学園中庭は春の風にのった桜の花びらで鮮やかに彩られていた。
例年、高台に位置する学園の桜は入学生を迎える季節に満開になる。
真新しい紺色のセーラー服を着た西野早紀は両手を背中に組んで舞散る桜の花びらの中を歩いていた。
一本の桜の大木の下に脚を止めた早紀は、頼りがいのある幹に背中をよりかけて校舎の上に広がる春の空を眺めてみる。
一瞬、早紀の目の前がピンク色に染まった。
春の強い風が花びらを舞い上げたのだ。
その風は早紀のスカートも舞い上げ、白く真直ぐな太腿を露わにしていた。
中庭にいる多くの生徒たちは、軽い悲鳴をあげながらスカートを押える素振りをみせるのだが、早紀は風にまかせるように変わらず桜の幹に身体を預けたままにしている。
校舎の間を吹き抜ける風は勢いを増して、ストッキングを穿いていないショーツの色が明らかになってしまうほどに早紀のスカートをさらに押し上げていく。
桜と同じ色のショーツは、男性を知らない早紀によく似合っていた。
早紀は昨夜見た夢を思い出していた。


早紀の夢・・・


早紀はセーラー服を着たままベッドにあお向けに寝ている。
白い天井が見えていた。
膝丈のスカートがゆっくりと上にめくられていく。
それを押えようと思うのだが身体は動かない。
(誰・・・)
早紀は唯一自由になる視線だけを動かし、自分の足許を確認したが、そこには誰もいなかった。
だけど確かにスカートの先は誰かの指につままれている。
テントのような三角形はゆっくりと大きくなっていくのだ。
もうショーツまで見えてしまっているのだろう。
早紀は両脚を閉じていたことを思い出しホッとしていた。
そうでなければ一番恥ずかしい部分を見られてしまう。
早紀はショーツを見られてしまうのはさほどのことではないと思っている。
ただ、それが汚れていることを知られるのは許せなかったのだ。
ショーツを汚している・・・それを知られることは耐えられない。
(きっと汚れてる・・・)
セーラー服を着ていることを考えると、まだシャワーを浴びていないということだ。
最近、変な想像をすることが多い。
特に自分の指をそこに運ぶということはないのだが、必ず濡らしてしまっている。
(だからきっと・・・)
右足首がつかまれた。
(だめ・・・開かないで!)
両脚に力をこめる。
しかし早紀の願いもむなしくズリっと右脚がずらされてしまう。
(いや・・・)
必死に抵抗を試みるが、身体が動かない。
ズリっ・・・
また少し角度を広げられた。
もうショーツのソールが見えてしまっていることだろう。
きっとそこは分泌液で染みを作っている。
その羞恥に耐えられない早紀は瞳を閉じた。



桜の幹に寄りかかった早紀は夢を思い出しながら考えていた。
(わたしバージンを捨てたいのかな?)
その欲求があんな夢を見せたのかしら・・・
早紀は夢の続きを思い出そうとする。


「さき~!」


自分を呼ぶ声で早紀の意識が現実に引き戻されていた。
クラスメイト大野有紀が校内中に聞こえるような声で呼びかけながら走り寄ってきたのだ。
現実に引き戻されていくことに不快感を覚えた早紀だったが、笑顔を作って有紀を迎えていた。

私立修徳学園は全寮制で、早紀と有紀ルームメイトだった。
二人とも県外からの入学生で、ともに友人はいなかった。
必然、急速に近づくことになる。
友達を選べない仕組みね・・・
早紀にはそれが理不尽に思えた。
別に有紀を嫌いと言うことではなく、その制度自体が納得できなかったのだ。



「ねえ早紀、今晩の寮会出るでしょ?」


「うん」


入学式を終えて1週間後、新入生を歓迎する寮会は恒例行事だった。
もちろん新入生は全員出席しなければならない決まりだった。
選択権のない回答・・・
どうしてそんなくだらない質問をするのだろうと早紀は思う。

女の子ってそうなのよね・・・)
早紀にとって不思議なことだった。


「早紀、準備できた?」


「準備って?」


「ほら新入生代表挨拶!」


「ああ・・・」


早紀には有紀の質問の意図はわかっていたのだが、あえて気づかない振りをしてみせる。


「ああ・・・って。早紀は私たちの代表なのよ?」


「うん・・・その時になったら考えるわ」


「・・・」


早紀は試験トップの成績で入学していた。
入学式でも新入生代表で「誓いの言葉」を読まされたのだ。
原稿の出来上がっている誓いの言葉を読まされることも早紀には理解のできないことだった。

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