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官能小説

2011年06月28日 12:03

徹が故郷に帰ってしまったその日、涼子は勤めているスナックで浴びるように酒を飲んだ。
そして、常連客に抱かれた。
それが靖男、今の旦那だ。
一回り年上の靖男は優しかった。
小さな町工場に勤めていて、わずかなお酒だけが楽しみの真面目な男だった。
情・事は味気ないものだったが、大切に涼子の身体を扱ってくれる。
徹とのそれとは比べ物にはならないが我慢できると思った。
1年後靖男のプロポーズに頷いていた。
プロポーズを承諾したのは、ようやく徹との情事を忘れられそうだったからだ。



・・・



木漏れ日と観光客のざわめきの中に、涼子は抱きしめられていた。
ワンピースの裾から侵入した幸介の手のひらが豊かなヒップを愛してくれている。
長いキスから開放された唇が濃い空気を肺に送り込んでくれていた。
幸介の唇が涼子の鎖骨に遊んでいた。


(いい気持ち・・・)


「宿に行こうか」


幸介はそう言うと、涼子の手を握り歩き出した。
涼子学生時代に戻ったような気持ちで黙ってついて行った。



・・・



宿に戻ると、幸介は家族風呂を予約した。
岩つくりの露天風呂だった。
眼下には谷川が望める。
まだ陽のある時間からふたりで湯船につかった。
涼子は幸介の腕の中にいた。


出会った時から、身体のどこかがつながっているわ・・・)


涼子は喜びの中で考えていた。
背後から回された幸介の両手が乳房をもてあそんでいた。
そして耳たぶにキスをされる。
腰には硬いモノが当たっている。
まるで付き合い始めて間もないカップルのようなふたりだった。
背中から幸介の愛情が伝わってくるように思った。
まるで愛に包まれているようで、恋をしてしまいそうだ。


「さっき、番頭さんに奥様って言われちゃった。」


涼子が楽しそうに言った。



部屋に戻り、おいしい夕食を食べ終わったとき涼子は言った。


「あの、家に電話していいかしら?」


「ああ、そうした方がいいね。僕は大浴場に行ってくる。」


そう言い残し幸介が部屋を出て行った。
家に電話を入れると、6歳の妹が電話に出る。


「お母さんよ。お父さんいるかしら?」


「うん、ちょっと待ってて今お兄ちゃんとゲームしてるから」


「はい。ああいい子にしてる?」


「うん。してるよ。」



「どうした?」


いつもの優しい夫の声だ。


「いえ、お夕飯だいじょうだったかしらと思って」


大丈夫さ。贅沢をして寿司をとったから。」


「そう。あなたごめんなさいね。」


「何を言ってるんだ。ゆっくり楽しみなさい。」


「ありがとう。明日は早く帰りますから。」


電話を切った。
もしかしたら、夫はすべて知っているのじゃないかと思う。
すべてを知っていて許してくれているのかと思う。
あなた。ごめんなさい。今日だけだからと思いながら幸介を待った。



・・・



厚い敷布団に寝かされた。
目の前で幸介が浴衣を取る。
適度な胸の筋肉と無駄な肉のない腹部。
浴衣の下には何もつけていなかった。
見事な象徴が目にはいる。


(ああ~すごい。これから私を・・・)


期待してしまう自分が恥ずかしかった。
しかし、新幹線の中から始まった休みのないソフトな愛・撫に涼子の身体は男を欲している。
もともと性の欲望を満足させるために出会い・サイトに挑戦したのだから無理もない。


(早く触りたい。早く触れて欲しい。)


もう随分我慢していたのだ。

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