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官能小説

2011年06月15日 09:46

球体に膨らむ心を方形の容器に押し込めると心は歪み不均衡が生ずる。
圧迫された心は自分を押し込めようとする大脳に反撃を開始し、大脳は主である心を誤魔化そうと手をつくす。


山の手外回り帰宅ラッシュで身動きするに不自由ではあったが、まだ肩が触れ合う程度であったのでさほど不快感を感じることはなかった。


「次は恵比寿


スピーカーが次の到着駅を報せている。



亜紀の下車駅まであと二つだ。


片手に開いていた文庫サイズの小説を閉じ、車窓に目を向けると見慣れた風景が流れていく。


まったくいつもと変わることのない情景であったが、ただ一つだけ亜紀の意識に引っかかるものがあった。


それは、亜紀文庫本から視線を上げた瞬間に前に腰を下ろす大学生風の男が瞼を伏せたことであった。


ブラジャーの上に直接着た腰丈のタイトジャケット亜紀のボディーラインをそのまま映し出し、つり革につかまっているせいで横腹の白い肌がわずかに覗いてしまっている。


同色のミニスカートから伸びる引き締まった両脚は、学生時代から続けている合気道のせいか若干筋肉量が気にはなるが、女性らしい脚線美を維持していた。


光沢のあるストッキングが電車の内照灯に反射し、膝上20cmのスカートからは黒いガーターベルトがちらちらと覗いて見えている。


隣に立つスーツ姿のサラリーマン携帯電話の画面を眺めていた。


しかし、実際は横目でバストの谷間を覗いていることを亜紀は知っていた。


スレンダー亜紀バストはBカップと小ぶりだが、寄せて上げるブラジャーが効果的に乳房の起伏を作っていた。


満員の車両にうっすらとかいた汗がよりセクシーさをあおっているに違いなかった。


前に座る大学生もまた文庫本を手にして読みふけっている振りをしていた。


だが、さっきまで太もも覗き見ていたことはあきらかだ。


亜紀が視線を上げた途端に文庫本に目を落としたのが何よりの証拠である。


亜紀は手にした文庫本を再び開くと、綺麗に並ぶ文字を目で追いかけ始めた。


きっと大学生の視線が自分の太ももに戻っているのだろう。


そう考える亜紀大脳には、ストーリーはまったく届かなくなってしまう。


隣に立つサラリーマンも必要以上に身体を密着させてくるように思えた。


覗き見されているであろう胸の谷間が火照り始める。


(いいのよ、見てもいいの。反応してる?貴方達のあそこは反応しているの?)


もう、亜紀の視線は文庫本を眺める振りをするだけになっていた。


亜紀は、列車の揺れを利用して軽く脚を開き、進行方向へわずかに身体を向けてやる。


期待通り、大学生がさりげなく自分の膝を亜紀の両脚の間に偶然を装って滑り込ませようとしてくれたし、サラリーマンも身体の向きを亜紀のほうへ変えてきた。


亜紀はふたりの意識が気になって仕方がない。


(もう裸にされているのかしら? この人たちの妄想の中で痴・漢されているのかしら?)


思うと身体の中心が熱く火照ってくる。


(触ってもいいのよ・・・?)


亜紀の両脚が作る逆V字は益々中心角度を広げていった。



わずか数分の夢だった。


実際、亜紀は痴・漢をされた経験がない。


この日も何も起こらなかった。


ただし妄想の世界では同時にふたりの男性に弄ばれていた。


亜紀は電車を降り、恋人との待ち合わせ場所へ歩いて向かった。


ウィークエンドの今日、いっしょに食事をしてお酒を楽しむ約束をしていた。


ひと月ぶりのデートだった。



・・・



「あん、いい、気持ちいい・・・」


そう呟いてラブホテルの天井に向けて亜紀は両脚を開いていた。


鏡張りの天井にはスレンダーな身体が写っている。


亜紀は自分の小ぶりなバストを気に入っていない。


(容はいいのだけどな・・・)


冷静に考えていた。


両脚の間には恋人村井健介の頭がある。


やはり天井の鏡には村井の背中が写っていた。


舌と唇で股間奉仕してくれていた。


それは30分も続いていただろうか、たっぷりと時間をかけた前戯亜紀の心と身体は村井を受け入れる準備を完了していた。


だが亜紀の心は若干冷めている。


いつもそうだった。


亜紀が満足するために一生懸命愛してくれていることはよく分っている。


その村井の気持ちに応えるために亜紀も言葉にした。


確かに感じていないわけではなかった。


ただ、亜紀にはこの後の展開をすべて予想できてしまうのだ。


いつも村井正上位でしか愛してくれない。


しかも、必ず聞いてくる。


「入れてもいいかい?」と。


そんなことは聞かないで欲しい。


本能のまま私の身体を求めて欲しい。


ただ我武者羅に性を発散して欲しい。


私は道具でもいいの。


そうされれば、きっと。


亜紀は願った。

このウラログへのコメント

  • kissxxxx 2011年06月15日 18:20

    一気に読んじゃいました(*´Д`)=3
    続きも読めたりするんですか?(・∀・)

  • 葵(あおい) 2011年06月15日 18:43

    文章お上手ですね
    読んでてドキドキしちゃいました

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