Tちゃんと沖縄旅行　四日目　夜　Kの憂鬱！

「どうせ、私は何も出来ないし・・」

まぁ、Kがすねるのも無理ないとも思うのですが・・。確かに、昨日のSのピアノ、Yのヴォ－カル、昼間のTのジミヘン、Fのドラム・・どれをとっても、とても素人とは思えません。でも・・・Kちゃん、お酒、不味くなっちゃうよ。

S「KちゃんはKちゃんよ。何か出来るのが偉いわけではないよ。」
K「Sさんなんか、T大卒で美人だし・・」
Y「Kちゃんだって、W大の美人じゃない。」
K「Yさんみたいにスポーツ万能じゃないし・・」
T「せんせー！何とかして下さい！」

やれやれ・・

zz「ひょっとして、K・・勉強できたり、スポーツできたりするの、偉いとか思ってない？」
K「それって、普通に偉いでしょう！」
zz「・・それがちがうんだなぁ・・」

これは、日本の教育の大きな欠陥だと思うのですが・・世間的に『成績の良い子は偉い子』という、間違った考えが、半ば、定着してしまっている様です。Kも、T大を頂点としたヒエラルキーを信じているようです。Sは確かに聡明な美人ですが・・T大卒の、融通の利かないクソ頭野郎も、何人か知っています。・そもそも、『勉強が出来る』という事実と、『頭が良い』は、必ずしもイコールではありません。

同じように、見た目は可愛いのに腐り切ったヤツもいるし、内面の美しさが外からも輝いて見えるひともいるはず。スポーツは大して得意じゃないけど、懸命に努力している子供とかをバカに出来るでしょうか？・・なんて話をKにしました。

zz「スティービー＝ワンダー、知ってるよな。」
K「知ってるよ。盲目の天才。」
zz「そう。あいつが云ってたよ。『君たちには恋人が見える。でも、僕には愛が見える』・・ってね」
K「どういうこと？」
zz 「ハンディキャップはマイナス要因ではないということ。・・同じことでさ、Kは歳とっていくことをどううもう？」
K「悲しいよ。いつまでも若くありたいけど・・」
zz「それは、難しいな。でも、精神的にはできるかもな。でもね・・」

歳とることも、そう悪いことではない。走れなくなったり、禿げたり、顔に皺が出来たり・・体力や知力が衰えるから、無理をしなくなる。外見の容姿が衰えるから、精神的に磨こうとする。私は、半分、棺桶に足を突っ込んで・・はじめて物事が見え始めたような気がします。・・ま、そんな話も老婆心ながら・・。

zz「Sなんか、10年前まで、泳げたかったんだよ。料理とかもさっぱりダメだったし・・」
S「ひどーい！・・ま、事実だけど・・」
Y「私も、ホント、10年前は何もまともに自分から学ぼうとしてなかったからね」
zz「そう！Yちゃん、話し通じなかったよねー」
Y「そうね、zzさんにあわなかったら、今頃、ウエストゴムのスカートで子供3、4人いて、昼間ＴＶ見ながらゴロゴロしてたかもね。・・でも、それはそれで幸せだったかも！」

おそらく、Kにはまだ、実感として解らないかも知れません。・・・多分、Tにも。今のSやYは彼女達の努力の上に成り立っているわけで・・逆に、彼女達は、自分の立ち位置を、ある程度見極めたから、今があるわけです。

K「でも。zzさんはなんでもできるじゃない！」
zz「おれ？・・おれは、色々出来るように見えて、その実、何もまともに出来てないよ。ただの器用貧乏さ。もっと何にも出来なくていいから・・その分、アート的ひらめきが1.5倍になってくれればなぁー」
K「え！zzさんも、そんなこと、思うんだ！」
zz「・・愚かな人間ですから・・」