Tちゃんと沖縄旅行　四日目 勝負とRock in ！

「zzさん、ハンデあげましょうか？」
「ふざけるな。一応、一勝一敗なんですよ。」
「うん！・・十年前にね！」

まぁ・・勝負はやる前から決まっていたようなものです。私が Yに勝ったのは10年前、8年前の勝負では既に負けています。その後、Yはずーとジム通い・・そして私はただの病人。勝てるわけがありません。どうせ勝てないのなら、前半、思いっきり飛ばしてみようと思いました。

負けると分っている勝負は、意外と力を発揮出来るものです。後半のことを考えない泳ぎは、結果的に、後半『水に乗る』というラッキーを生みました。・・・あれ、いけるかも知れない・・そんな思いのラストスパートをあっさりYに抜かれてしまいました。

「・・やっぱり、Yちゃんにはかなわないか・・」
「ちょっと、びっくりした。zzさん、まだいけるじゃない。」
「でも、勝てなかった。」
「・・よかった。zzさんがヨレヨレじゃなくて・・」

そのまま、キスをしました。・・とくかく、これで費用は全て私持ち・・。

午後はみんなで海へ。ホテルのプライベートビーチなので安心です。仮説のステージで、地元のバンドがサーフ系の曲を演奏しています。なんだか、今一つ、パンチがないので・・

「Tちゃん、ちょっと一発弾いてこいよ。」
「えー！・・でもわるいかなぁ・・」

Tは学生時代、ガールズバンドのギタリストだったのですが・・これが、ちょっと考えられない、男顔負けのテクニシャンなのです。人呼んで『女ジミヘン』。あだ名は伊達ではありません。

「おれ、交渉して来るね。」
「せんせー！もう！迷惑ですって！」

Fは、とりあえずドラムが叩けます。また、Tとバンドの経験もあるのでFも呼んで交渉に行きました。結局、機材を借りると云う名目で、金銭で解決。時間は30分。ただ、演奏には協力出来ないと云うので、Fのドラム・私のベースで、Tのギターを援護することになりました。急造Tちゃんスリーピースバンドです。

Fはドラムの革をパンパンに張っています。Tはディスト－ションの調子を確かめ、音量をMAXまで上げ、準備完了。とりあえず、Gベースのブルース進行でぶちかますことになりました。

Tは、最初からジミヘンコードの大爆音！・・だめだこりゃ、ベースもボリューム上げなきゃ！ビキニの小柄なジミヘンの登場に、ビーチの客はぎっくり仰天。仮説ステージの前に、次々と集まって来ました。Tはホント、パワーの塊みたいな女の子です。イヤー、スゲー！

客寄せの即興ブルースの後、何の打ち合わせもなく、Tは、『Purple Haze』を弾き始めて、こちらを見ています。・・え！歌えってか！・・しゃーねー！やるか！・・でも歌詞、途中忘れたなぁ。・・で、思いっきりシャウト！！・・・てなわけで、急造Tちゃんスリーピースバンド終了！

S「Tちゃんすごーい！パワフル！！」
Y「私、涙でちゃった！」

ま、当たり前ですが・・誰も私の歌を誉めてはくれませんでした。声出なくなるくらい頑張ったのに・・。しかし、Tのギターはいつ聞いても凄い！！